マイカー帰省族必見! トラックドライバーが行っている「眠気対策」とは

居眠り防止センサー、アプリでの通話、“熱唱”まで

5.居眠り防止センサーを取り付ける 知り合いのトラックドライバーから教えてもらい、筆者も実際に購入してみたのが、この「居眠り防止センサー」だ。  耳に掛けておくと、頭が一定以上傾いた際に、アラームや刺激が作動する仕組みになっている。メガネやサングラスを掛けていても使用可能だ。  また、商品によってはアラームを音のしない強力なバイブに変換できるものもあるので、1人で運転するドライバーだけでなく、図書館で勉強している時や、オフィスでの仕事中など、様々なシーンでも使える。  安いものだと1,000円以下からあるので、興味のある方は、試しに購入してみるのもいいかもしれない。 6.歌う  恐らくこの世に「熱唱しないトラックドライバー」は存在しないだろう。高い車高から目前の富士山に向かって「We will lock you」なぞと叫べば、カラオケボックスでは得られない開放感。眠気だって一気に吹っ飛ぶ。  筆者がトラックに乗っていた頃、世間では「ひとりカラオケ」が急速に流行り出したのだが、終日「個室」に座り続けるトラックドライバーにとっては、もはやひとりカラオケは昔から「業務の一環」。そのためか、彼らにはやはり歌が上手い人が多い。 7.無料通話アプリでの会話  トラックドライバーは基本的に単独行動であるため、運転中は人と接する状況にはない。自分のペースで仕事ができ、気楽ではあるのだが、その反面、こうした環境が眠気の原因になっているのも事実だ。  そんな時彼らは、同じように日本のどこかでトラックを走らせている同業同士、LINEやメッセンジャーなどといった「無料通信アプリ」で通話をし、互いに励まし合うのだ。 「トラックドライバーの仲間意識」については、今後追って紹介する予定だが、とにかく彼らは仲間意識が大変強い。一度も直接会ったことのないドライバー同士でも、眠たければ話し相手になり、渋滞にはまれば交通情報をシェアし合う。  こうした彼らの助け合い精神を目の当たりにすると、どんな歯抜けのおっちゃんでも、大変格好よく見えてくるのである。 8.寝る  今回のアンケートの中で最も多かった回答が、意外にも「欲に逆らわずに寝る」だった。言われてみれば、これ以上最善の対策はない。 「定時到着」が命のトラックドライバーだが、「『眠い』という脳の声には素直に応えてやるのが一番」、「時間厳守は大事だが、居眠り運転で事故を起こしては元も子もない」、と考えるドライバーは非常に多く、彼らは、眠くなったらサービスエリアやコンビニなど「停まれる場所」を探し、リクライニングを倒さないまま、仮眠を取るようにしているという。  が、時間は長くて10分程度。彼らの頭の中にある時計の針は、やはり常に動いたままなのだ。  その他、少数意見には、「高速道路の白線を見ない」、「ティッシュを噛む」、「息を止める」、「深呼吸する」、「ピンクな妄想をする」など、斬新な対策も多々あった。  ちなみに、筆者自身がドライバー当時、特に気を付けていた眠気対策は、2つ。  そのうちの1つは、「車内を常に少し寒くしておく」こと。特に、人間は足を温めると即刻眠くなるので、温風は足元からではなく上部から出すようにしていた。  もう1つは、「腹いっぱい食べない」こと。遠方のサービスエリアや道の駅に行くと、ご当地弁当などが置いていて食欲がそそられるところだが、腹が満たされると必ずといっていいほど、間もなく睡魔が襲ってくるため、なるべく食事は少量に留めていた。  年末年始、遠方まで運転するドライバーも多いだろうが、その際は是非、自分に合った眠気対策を予め把握・準備したうえでハンドルを握ってほしい。 【橋本愛喜】 フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
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