ビジネスシーンで受けがちな反論。こうすればうまくいなせる

自分の主張に耳を傾けてもらうには

 この結語転換は、「Aということはわかっているけれども、Bなので反対だ」というパターンの反論に対して使える手法だ。  では、AだからBだというパターンではなく、「とにかくBだ」という反論をされた場合には、どのように誘導していければよいのだろうか? たとえば、「とにかく価格が高いから反対だ!」「まったく時間がないから許容できない!」という反論だ。  こういった場合には、前段のAの部分がないか、聞き出してみればよい。「とにかく価格が高いということですね。なにかひとつでも、評価してくださっている点はありますか?」「まったく時間がないのですね。しかし、実施する意味についてはどうお感じですか」というようにするのだ。  その結果、「製品のよさはわかっている」「実施する意味はわかっている」という返答が返ってくれば、「価格は高いとおもっているとはいえ、製品がいいことは評価しているのですね」「時間がないとはいえ、実施する意味はわかっているのですね」と結語転換が使えるようになる。  そして、この「結語転換手法」には、ほかにもとても大きな効果がある。結語転換を使ってみると、自然と相手の考えに耳を傾ける、相手の意向をしっかり理解したうえで対話するといった状況が生まれてくるのだ。  演習をしていると、相手の意見をあまり聞かないで自説を主張し合ってしまい、紛糾してしまうケースがまことに多い。そういう場合には、「相手に意見を聞きましょう」「相手の意向をふまえて自説を展開しましょう」とアドバイスする人がほとんどだ。  しかし、そのような漠然してアドバイスをしても、いったいどうやればよいのか手法がわかっていないので、実行には移されない。だからこそ、繰り出すフレーズを分解して結語転換する必要がある。  前段の部分がなければ、前段の部分を自ら聞くという具体的な話法と行動の仕方を実施してみるべきだ。すると、相手が「話を聞こう」「意向をふまえよう」と思わなかったとしても、自然と話を聞いたり、意向をふまえることができるようになる。これが分解スキル反復演習の効能だ。 「そんなにうまくいくばずがないだろう」と思う読者もいるかもしれない。しかし、この結語転換手法は思った以上に効果があるので、まずは是非、一度試してみていただきたい。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第114回】 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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