辺野古土砂投入の日、菅官房長官会見で浮き彫りになった「いじめの構図」。民意も批判的な記者の声も踏みにじられる

 2018年12月14日、沖縄・辺野古にて普天間基地移設工事の土砂投入が強行された。過去2度の沖縄知事選挙で辺野古移設反対を掲げた知事(2014年:故・翁長雄志氏、2018年:玉城デニー氏)が連続当選したにも関わらず、政府は沖縄県民の民意を完全に踏みにじった形だ。  時を同じくして、東京・永田町の首相官邸でも似た光景が繰り広げられていた。同日午前の菅官房長官の定例記者会見は辺野古土砂投入に関する質問が集中した。しかし、たった1人だけ明らかに不当な扱いを受ける記者がいた。その記者は、東京新聞・望月衣塑子氏。  本記事では、この記者会見における望月記者に対する菅長官の対応を「回答に費やした時間」と「回答内容」に着目して視覚化していく。 ※菅官房長官の望月記者への対応はもはや差別の領域に達していると筆者は考えており、「差別話法」と命名し、これまでも視覚化に取り組んできた。(参照:筆者のnote」)

望月記者の質問だけは2~3秒で終わらせる菅長官

 まず、この記者会見で質問した記者3名(共同通信・小笠原記者、朝日新聞・岡村記者、東京新聞・望月記者)の質問内容、質問と回答の時間がこちらだ。 1214会見 質問内容は全て、当日に行われようとしている辺野古土砂投入に関するものだ。しかし、回答時間は望月記者だけ異様に短い(1問目:2秒、2問目:3秒)。  この違和感を視覚化したのが、こちらの棒グラフだ。  この棒グラフは、3人の記者が1質問にかけた平均秒数、その回答に菅長官がかけた平均秒数だ。質問時間と回答時間の差分に着目すると、他の2記者は質問にかけた時間より長い回答を得ている(共同通信記者:+26.5秒、朝日新聞記者:+71秒)一方、望月記者は唯一のマイナスで、しかも-19.5秒と極端に短い。  つまり、同じ問題(辺野古への土砂投入)に関する質問であるにも関わらず、菅長官は望月記者の質問だけは一瞬で回答を終えている。
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会見の場に浮かぶ「いじめの構図」
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