宮古島の馬虐待、また起きた仔馬の死。劣悪環境の牧場から一刻も早く馬を救え
日刊SPA!」で伝えられた、沖縄県天然記念物・宮古馬の虐待問題が、多くの人々に衝撃を与えている。その記事が掲載された『週刊SPA!』の発売日当日に、また一頭の仔馬が逝ってしまった。
今年の5月に母馬が餓死し、母乳を飲むことができないというのに、飼育者にミルクも与えられず放置されていた仔馬だ。事態に気づいたボランティアがこっそりとミルクをあげることで、何とか命をつなぐことができていた。あまりのことに、宮古島市には全国から抗議の電話が殺到している。
地元紙『宮古毎日新聞』も12月13日に、「宮古馬飼養戸数7戸から5戸へ」「劣悪環境の指摘も」とこの問題を取り上げた。
このような状況を受けて宮古馬保存会に新たな動きが出ているため、追加取材を行った。
今回2戸の飼育者が、宮古馬を自主返納することが決定した。この2戸こそが今回の虐待問題の中心で、目に余る劣悪な飼育を行ってきた飼育者、N氏とS氏だ。N氏は3年間で10頭のうち7頭を死なせていて、S氏は2年間で4頭のうち3頭を死なせている。
その死因の多くは餌や水をまともに与えないことによる餓死や衰弱死だ。少ないとはいえ、1頭につき約8000円出ているはずの委託飼育料はいったいどうなっているのか?
S氏は前述の母馬を餓死させ、仔馬までも死なせてしまった張本人だ。「柵の一部が壊れたままで、仔馬がそこから外に出るため、綱で繋いでしまった」と説明している。
しかし、馬を少しでも知っている者ならば、仔馬を絶対につないだりはしない。仔馬は跳ねるので、つなぐと綱で首を絞めてしまったり、骨折してしまったりするため危険だからだ。案の定、仔馬は骨折が原因でみるみる弱っていき、死に至った。S氏が親子馬を揃って死なせてしまうのはなんと2度目だ。
S氏は、「妊娠している牝馬をほしがる」と地元では噂になっている。それは、仔馬が生まれると10万円の補助金が手に入るからだ。
妊娠中の牝馬を1頭飼っていた飼育者のA氏が、高齢のためこれ以上飼育することが不可能になり、3人の飼育者がそれを「引き取れる」と名乗りをあげた。3人とも「仔馬が誕生した際には、10万円はこれまで育てたA氏へ渡す」という約束をしていた。
ところがS氏から「その馬は自分がもらう」と横やりが入り、なんと市の畜産課はそれを認めてしまった。そして母馬の出産後に、S氏はA氏に10万円を渡すことはなかった。母馬と生まれた仔馬は世話をされず、結果的にはどちらも不潔な馬房のなかで無残な死を迎えた。
さらにS氏は、馬の飼育援助の一環で出ている馬事協会の助成金を受け取り、立派な厩舎を建てている。実は、この助成金はその前に別の飼育者への支給が決まっていた。しかしその飼育者には支払われることはなく、S氏には支払われた。その過程も不透明だ。
ちなみにS氏は、前回の記事で触れた「地元リゾートホテルが、保護を外された宮古馬を観光用に飼おうとしている」という件にもかかわっている(※現在、健康に育った宮古馬と触れ合うことのできる「宮古島東急ホテル&リゾーツ」とは別のホテル。同ホテルは宮古馬の保存に協力的で、所有の予定はない)。
『週刊SPA!』や「
馬の自主返納が決定した飼育者たちの実態
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