多摩川沿いにあるたちかわ創造舎。河川敷では多くの人がロードバイクで走り抜けていく。
そんななか、タンデム自転車の講習では一人ずつ乗ってみることに。筆者も実際に校庭を何周かしてみたが、カーブするときにやや後方が揺さぶられる印象を受けた。慣れない人は、こういった講習会を受けておいたほうが安全だろう。
次に2人ずつペアで乗車してみるとことに。カギとなるのは、前出のとおり「声かけ」。後方に座る人は前が見づらいため、始動するとき、曲がるとき、段差があるときは、声に出して伝えることが大事。
筆者は以前も講習会に参加したことがあるというマユミさんと組んだので、割とスムーズに走ることができたが、後方に座っているとちょっとしたカーブや段差にもドキドキしてしまう。
しかし、ここで参加者の心を揺さぶるミッションが課せられることに。インストラクターから発せられたのは、「では、目をつむって乗ってみましょう」の一言……。
このタンデム自転車、地方観光や高齢者を乗せるといった点で活躍するだけでなく、目が不自由な人が自転車に乗ることができるという意味でも注目されているのだ。
「端から見ているだけだと思ってたのに……」と腰が引けた筆者だが、自転車から数メートル離れたところをスタート地点に、目をつむった状態で乗ってみることになった。
「パイロット」は先ほどもペアを組んでくれたマユミさん。まずは筆者の手を自分の腕に回し、ゆっくりと自転車に近づいていく。そして、筆者の手を持ち、「これがペダルです」「これがサドルです」「これがハンドルです」と、自転車のパーツを説明。
普段、自転車を利用している人にとっては当たり前のものでも、これまで乗ったことはおろか、自転車を“見たことがない”人にとっては、こういった情報をしっかり伝えることも大事なのだと感じさせられた。
こうして跨り方も声に出して指示していただき、後ろのサドルに座ったところで、「前に進むので、せーのでペダルを踏んでください」と始動のタイミングを確認。なんとか無事に走り出すことができた。
「ストーカー」の役割を担った筆者だが、ハンドルにはブレーキもついていないし、進行方向をコントロールすることもできないため、なかなか怖い……。こういった恐怖心を和らげるためにも、声かけは重要だ。「左に曲がりますよ~」「少し揺れます」といったマユミさんの一言一言が、安心感に繋がった。
そして校庭を何周かしたところで、「ゆっくりスピードを落として止まりますよー」と停車。前後のペダルの動きが連動しているため、これもコツが要りそう……。若干、バランスを崩しながらも、なんとか止まることができた。最後に、降りる順番なども声をかけながらサポートしていくことも大切だ。
インストラクターによれば、「自転車に乗った気持ちよさや風を感じることができる」といった点が目の不自由な人に好評なのだという。