消費者の4割が遺伝子組み換えに「不安」、8割が「避けている」「できるだけ避けている」
「遺伝子組み換えジャガイモは免疫系に影響を与える」と警鐘を鳴らしたプシュタイ博士(2000年の来日時)
複数の法律にまたがる食品表示の一元化を進めてきた消費者庁は、2017年4月から遺伝子組み換え表示の見直しを進めてきた。
表示見直しを実施する前に、同庁は食品表示に関するインターネットアンケート(実施期間:2016年12月~2017年1月)を実施。それによると、遺伝子組み換え食品に対し「不安がある」と答えた人は4割だったが、「遺伝子組み換え食品を避けている」「できるだけ避けている」人は合わせて全体の8割に上った。
「遺伝子組み換え食品は国が安全性を認めたものなので安全だ」と言われるが、安全性に不安を持ち「子どもには食べさせたくない」と考えている人は少なくない。
除草剤をかけても枯れない除草剤耐性大豆や、葉っぱや茎に殺虫成分を生成する害虫抵抗性トウモロコシなどの遺伝子組み換え作物は、「組み換えていない元の大豆やトウモロコシと同じ=実質同等」なので安全であるとされているが、明らかに違う形質が添付されているのに「同じ」というのは無理がある。
そうした中で、遺伝子組み換え作物の安全性に最初に警鐘を鳴らしたのは、クローン羊の「ドリー」で有名になったイギリス・ローウット研究所の主任研究員だった、アーパット・プシュタイ博士である。
1998年、プシュタイ博士は「ラットに組み換えジャガイモを食べさせたところ、ラットの免疫力が低下した」との実験結果を発表した結果、研究所を追われた。
実験は、まつゆき草の殺虫たん白(レクチン)を組み込んだジャガイモをラットに一定量を与え続けた場合、成長阻害があるか否かを見るというものだった。ラットを3つのグループに分け、「組み換えていない元の品種」「元の品種にレクチンを加えたもの」「組み換えジャガイモ」の餌を、各グループのラットに与えた。
その結果、遺伝子組み換えジャガイモを食べさせたラットは、心臓・肺・脳・小腸などの発達に明らかに異常が見られ、免疫システムにも異常をきたした。元の品種や、元の品種にレクチンを加えたものでは、まったく影響が見られなかった。
実験結果からプシュタイ博士は、異常を引き起こした主な原因は「遺伝子組み換え技術そのものと、ジャガイモのゲノム中での遺伝子のふるまい」と結論付けた。また、博士は「組み換えられたジャガイモは、組み換え前のジャガイモの組成と実質同等ではなかった」とも述べている。