笑顔でNGを出す女性上司、厳しい顔でOKを出す男性上司。惑わされないためには?

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評価を下す際の表情は、男女で正反対だった!

 こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日はビジネスで見られる、ある表情についてご紹介しようと思います。次のようなシーンを想像してみて下さい。  上司にセールスの中間レポートを提出。あなたは、このままのペースなら十分に今年度の目標を達成できる自信があります。  しかし、この52歳の男性上司の顔の眉間にはしわが浮かんでいます。難しい顔をしながらレポートを読んでいます。 「あれ、思ったより評価低いのかな!?」と思っていた矢先、突然笑顔になって「よくやってるね!この調子で続けて下さい」と一言。「一瞬、不安になったけど、良い評価をもらえて良かった」と胸をなでおろします。  会社の先輩にアドバイスをもらおうと新サービスの企画書を持って相談。企画書を笑顔で読んでくれるキャリアウーマンの先輩。 「なんか良い感じだな。『鋭い視点の企画だね』とか『これなら企画会議で十分通るわね』とか褒めてくれるかも!?」と期待していた矢先、「この企画内容ではまだまだね。もっと工夫がないと。例えばこの数字の出し方だけど……」と、ネガティブな評価が続々。「笑顔だったからいけると思ったんだけどな~」と肩をがっくり落とします。  相手の表情から自分が予期していた評価と実際の評価とが異なっているというシーンです。時々、こんなことが起きると思います。そしてこう思います。「表情ってあてにならないな」と。  表情は感情を始めとした意図や想いを現すコミュニケーションのシグナルですが、常に真の感情が表情として現れるわけではありません。そう、表情は色々な形でコントロールされるのです。真の感情が表情に現れるのを抑制するケースもあれば、繕いの表情を偽装するケースもあるのです。冒頭のケースは後者です。  もう少し詳しく書くならば、ある状況において適切だと考えられる感情表現の暗黙的なルールが、真の感情がどうであれ、特定の表情を現すことを私たちに要求するのです。  このルールのことを表示規則といいます。  私たちは幼少の頃より、知らず知らずのうちに両親や周りの人から状況に合った「あるべき」感情表現を学びます。「男の子なんだから、転んでも泣かないの。」とか「欲しくないプレゼントをもらっても、笑顔で『ありがとう』ってお礼するんだよ。」とかいうものです。  表示規則は、性別・民族・自分の属する集団に非明示的に存在しています。冒頭のケースは、性別間の表示規則の一つ、すなわち、何らかの評価を下しているときの表情の表出ルール男性版・女性版ということになります。
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女性は目元を、男性は口元を見ろ
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