玉城デニー沖縄県知事訪米。日米両政府に対して「対話」を呼びかける

 玉城デニー・沖縄県知事が11月11~16日に訪米、14日10時すぎ(現地時間)にワシントンで米国務省の次官補代理と面談した。防衛省相当の国防総省の日本部長代理も同席するなかで辺野古新基地反対の民意を伝えたが、30分を超える面談終了後、「普天間代替施設(辺野古新基地)建設の姿勢は揺らぐことはない」という国務省の声明がすぐに発せられた。アメリカ政府も日本政府と同様、「辺野古が唯一の解決策」という主張を繰り返したのだ。

ワシントンは「雪が降る前の曇り空」、ニューヨークは「快晴」

12日朝、ホテルでの緊急会見を終えた後、ニューヨークの現地メデイアの番組収録現場に向かう玉城デニー知事。この日は、2つの現地メディアによる個別取材の後、国連幹部との面談も行った

 最後の総括的な囲み取材で、玉城知事は後半のワシントンでの手応えを「雪が降る前の曇り空」と例えた。それに対して、ニューヨークでの前半の日程を「快晴」と評した。  現地時間の11日朝にアメリカに入国した玉城知事は、14時からニューヨーク大学で講演。アメリカ在住の沖縄県出身者や一般市民ら140人以上が参加した。翌12日には複数のメディア取材や中満泉・国連事務次長(軍縮担当)との面談をこなし、アメリカでの世論喚起の手応えを感じていた。  国会議員時代、3回の訪米経験がある玉城氏だが、これまでは政治の中心であるワシントンD.C.での活動が中心だった。なぜ今回、ニューヨークをまず訪れたのか。ニューヨーク大学での講演の冒頭で玉城知事はこう切り出した。 「今回は『多様性の持つ力、沖縄の誇りある民主主義』をテーマにお話をするために、アメリカでも多様性に溢れている都市・ニューヨークを訪米活動のスタート地点に選びました」  そして、父が米海兵隊員だったため、外見上の理由でいじめられた生い立ちを紹介した。 「幼い頃は、外見が違うという理由だけでいじめられましたが、私を実の母以上に可愛がってくれた養母は、差別や偏見が心の傷にならないように優しく教えてくれました。(中略)沖縄における多様性は、生きるためのたくましさを必要としながらも、人としてのチムグクル(真心)を、失ってはいけないアイデンティティとして沖縄県民が持っているまぶい(魂)でもあります」  自らのルーツを語った玉城知事は、多様性の力についてもこう力説した。 「アメリカでは恐らく沖縄の問題があまり知られていないかも知れません。しかし私はとても不思議に思います。なぜなら現在に至るまで、多くの数のアメリカ人が沖縄に駐留してきているからです。沖縄とアメリカの関係は非常に深いといえます。この深い関わりの中から私も生まれてきたのです」 「沖縄の多様性は、私のような存在であり、米兵と結婚して渡ってき今アメリカにいる女性たちであり、そして親から沖縄の魂を受け継いだ子供たちであり、沖縄に触れてきた数多くの軍人・軍属なのです。私はこの多様性を、誇るべき民主主義の力にぜひ変えてほしいのです」
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「米国も当事者」と玉城県知事
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