イオンモール幕張新都心店に8月にオープン。今後、日本各地のモールにも出店するのか
中国で模倣対策も行う調査会社、アライジェンス・コンサルタンツの太田基寛氏は、メイソウの成功の要因についてこう話す。
「真偽はさておき『日本品質』というイメージをうまく植えつけながら、豊富な商品を低価格で提供していることが成功の最大の要因でしょう。メイソウの商品は物によってはユニクロや無印良品の半額以下で、例えば中国の店舗では靴下は一足10元(約164円)です。中国でこの価格で靴下を買おうと思ったら、これまで卸売市場内の小売店に行くしかなかった。しかもワゴンの中に雑然と投げ入れられた商品の中から自分の趣味やサイズに合うものを根気よく探す必要があった。メイソウは、そんな小売店に格安商品を卸すメーカーと直に契約し、品質を担保してデザインやサイズの種類を揃え、自社ブランドをつけて売り出した。結果、『市場の小売店で買うのはダサいけど、ユニクロや無印は高い』と考える中間所得層の若者を中心に支持を得たのです」
こうして中国での成功を看板に、海外の現地資本と積極的にフランチャイズ契約を結び、世界中に店舗数を増やしていったのだ。
さて、メイソウといえば未解決の謎がある。同社が日本品質の根拠とする、謎の日本人ブランドデザイナー兼共同創始者・三宅順也氏の存在だ。4年前、週刊SPA!は彼にインタビューを行ったが、当たり障りのない話で濁された経緯がある。メイソウがグローバル企業になった今、改めて成功した日本人として話を聞きたい。そう思った取材班は本人にメールを送りコンタクトを図ったが梨の礫。世界的企業となったことで、多忙を極めているのだろうか。メイソウの広報担当者にも取材を申し込んだが、返答は得られなかった。
しかし、三宅氏の直近の姿をネット上で発見できた。昨年夏、南アフリカに出店した際、現地メディアによって撮影されたインタビュー動画だ。
「なぜメイソウは南アに進出を決めた?」と尋ねる記者に、「人類が初めて誕生した場所なので行かねばと……へっへっへ(笑)」とはにかみながら答える三宅氏。自身の学生時代に関する質問にも「えーとぉ」「あのーぅ」を連発し、宙を見つめて言葉を探す。あまりの中身のない回答に通訳者が当惑する一幕も。もともと口下手なのかもしれないが、世界を飛び回る共同創業者なら、もう少し話し慣れていてもよさそうなものだが……。
三宅氏の行方はわからなかったが、一方でもう一人の共同創業者でCEOの葉国富氏には、メール取材を取りつけることに成功した。 そこで葉氏が述べたのは、かつて模倣元とされた無印良品とユニクロに対する、意外な言葉だった。