下村島集落から肱川左岸を望むと、なんと堤防がありません。堤防の代わりに土饅頭(土を盛っただけのもの)が並んでいる箇所があります。堤防が破堤したとしてもここまで破壊されることはまずありませんので、この土饅頭は堤防の残骸ではありません。
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下村島集落より肱川左岸上流側を望む。堤防でなく土饅頭がたくさん見える2018/10/20撮影
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同地点より土饅頭を拡大。2018/10/20撮影
更に、下流側には土饅頭すらありません。
「堤防がない!」「なにもない!」「ない!ない!ない!」
下村島集落より肱川左岸下流側を望む。土饅頭すらない2018/10/20撮影
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菅田町菅田の肱川左岸堤防建設現場。治水効果は皆無2018/10/20撮影
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菅田町菅田の肱川左岸堤防建設現場。治水効果は皆無2018/10/20撮影
流石に驚きのあまりに声が出ます。肱川は暴れ川として有名な一級河川です。しかも治水機能を持つ多目的ダムが上流に二箇所あり、さらに支流に一箇所建設中です。
そのような河川に無堤箇所などある訳がないのです。
ダムを建設しても下流に近代的な大規模堤防が建設されていなければ、ダムは治水機能をまともに発揮できません。むしろ最悪の場合、ダム自身を守るための緊急放水によって下流は見殺しにされます。
そんな
でたらめな治水事業を行っている河川が日本にあるわけがないのです。鹿野川ダムは1958年完成ですから、すでに60年を経ています。鹿野川ダムの建設開始から65年を経て、菅田のような水害危険地帯に堤防がない。それでありながら、鹿野川ダム再開発を行い、山鳥坂ダムの建設も行っている。
順番が完全に違います。これは狂気の沙汰です。その狂気の沙汰が眼前に広がっています。
気を取り直して、土饅頭を目指します。
土饅頭は、未完成の連続した堤体へと続いており、明らかに建設中の堤防です。この状態では
治水機能は全くありません。あきらかに
極めて大規模な無堤地帯が氾濫原という危険地帯に存在しています。
連続した堤体を持つ未完成の堤防に登ると、肱川右岸が見えます。余家(よけ)バス停周辺で行われている水門建設工事現場とわかりますが、よく見ると堤防がありません。この箇所は、肱川右岸側氾濫原の付け根に当たり、水防上の最重要地点です。しかし、堤防がありません。
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菅田町菅田の肱川左岸堤防建設現場。土饅頭が連続した堤体となっている箇所によじ登って撮影 右側は肱川 2018/10/20撮影
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同地点より肱川右岸を望む。右岸側の氾濫原の根本に当たり、治水上の重要箇所だが堤防がない。2018/10/20撮影
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水門を建設中で、赤い重機の乗っている地点が本来堤防のあるべき高さ。非常に古く低い堤体が左側に見えるが、中規模洪水にすら耐えられず無堤地区と見做してよい。左中央木立の後方に見えるのは菅田小学校。2018/10/20撮影
この余家バス停付近では今年9月10日より河川敷の道路を封鎖して堤防建設工事が始まっていますが、鹿野川ダムの運用開始から60年間大規模無堤地域が存在していたことには変わりません。
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肱川右岸除家バス停付近で行われる水門建設工事。菅田地区右岸側氾濫原の付け根に当たる最重要地点だが、堤防が存在しない2018/10/1撮影
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同地点上流側2018/10/1撮影
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水門建設現場より下流側。堤防は存在しない2018/10/1撮影