「外国人が増えれば犯罪が増える」は嘘だが、入管法改悪は外国人労働者を犯罪に追い込む可能性も

脱走した実習生を狙う犯罪組織

 不法就労した外国人の相談に乗ることも少なくないという日本人のAさんはこう語る。 「技能実習生として来日したけど過酷な労働に耐えかねて脱走した女性を狙って、WeChatなどで人を集めている連中がいます。彼らの多くは、非合法のマッサージ店に失踪した女性実習生を派遣します。 いま、いわゆるチャイエスと呼ばれる中国エステ店も、留学生などを雇うと摘発時のリスクが風営法だけでなく入管法にも違反するので倍増し、悪くすれば店主の在留資格も剥奪され強制送還されます。 そのため、“まともな”というと語弊はありますが、ソフトサービスだけの店などは在留資格が不確かな人は雇わない傾向にある。つまり、脱走した実習生を雇うのは“まともな店”ではない。つまり本番などを強制されるような店であることが少なくありません。 さらに悪いことに、その際に、旅券や在留カード、通帳などを“安全なように保管してやる”とか、いろいろと甘言を弄して逃げられないようにする連中もいるようです。悪質な日本の技能実習先から逃げた同胞を、同国人の不良が食い物にしているんです。技能実習生のコらは、逃げ場も救ってくれる人もいない、真の“弱者”なんです」  また、中国に替わり、実習生の派遣元として増えているベトナムについても同様だ。 「近年では来日外国人の犯罪件数で中国人を抜いて最多となっているのがベトナム人ですが、こうしてベトナム人の犯罪が増える要因の一つが技能実習生制度だと思います。ニュースで暴行を受けたベトナム人技能実習生の姿を見ましたか? あんなの私の知る限りでは結構日常茶飯事ですからね。 もともと日本に来る前に話していた内容にない作業、原発での除染作業だとかに派遣されるようなケースだけでなく、虐待や差別が横行している職場ですよ。逃げ出さざるを得ない。そうして逃げ出したコらを、もともとあるベトナム人犯罪グループがリクルートするわけです」
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統計が否定する「外国人が増えると犯罪が増える」
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