再び暗躍する「地面師」。その巧妙な劇場型手口
2018.11.14
「土地の権利証は偽造したコピーを最初に渡しておくんだけど、最後の決済時は“本物”を用意する。権利証はなくても作れるんだ。権利証をなくしたと言って、登記申請の委任状に公証人の認証をつけるんだよ。おかしなもんで、この委任状が土地の権利証と同じ扱いになる。公証人の認証なんて公証役場で書類を出すだけのザル確認。たかだか3万円程度でお墨付きの“権利証”が手に入るんだ」
こうして決済が終わり、司法書士が土地の登記に行くと真っ赤な偽物と判明。その頃には劇団は解散して、カネも消えているのだ。
こうした地面師たちを不動産業界の人々はどう見ているのだろうか。自身も不動産の営業マンであり『現役営業マンが明かす 不動産屋のぶっちゃけ話』の著者、関田タカシ氏に話を聞いた。
「本人確認は家まで行って確認するのが一番なんですが、小さい不動産屋の場合、『そんなまどろっこしいなら他に頼むよ』と言われるのを恐れ、確認が疎かになったまま話が進んでしまうこともあります。また、会社の代表者になりすますケースもあります。大手の場合、取引に社長がいちいち出てこないので、部下や代理人になりすまして話を進めようとするケースもありますね」
彼ら地面師をはじめとする詐欺師を見抜くのは至難の業とも。
「決済まで急いでいる、家に入れてくれない、関係ない人がたくさん出てくるなどのケースは怪しいですね。ほかにも地面師を見破るためのポイントはあり、大手では研修も行われてますが、結局ベテランの“長年の勘”に頼らなくてはならないほど見極めるのは難しい」
では、防御策はあるのだろうか。
「抵当権がついているだけで、それを外すのに銀行に行くなど面倒な手続きが要ります。ローンを払い終わっても抵当を外さないでおくのもアリかもしれませんね」
これからは人口減少や高齢化で都心の一等地に空き家、空き地が増えていく。ますます地面師など不動産詐欺師が暗躍するのかもしれない。
【関田タカシ氏】
不動産業界の裏側を綴ったブログ「僕と不動産」で話題の現役不動産営業マン。著書に『現役不動産仲介営業マンがこっそり教える 最強の初心者向け不動産投資』(彩図社)などがある
― [劇場型地面師]にご用心 ―
不動産業者も頭を抱える巧妙な仕掛け
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