再び暗躍する「地面師」。その巧妙な劇場型手口

 昨今の不動産市場の活況でまたしても暗躍するようになった地面師。まるで映画のような詐欺事件をどのようにやってのけるのか。裏社会の住人に話を聞いた。
空き家や空き地

高齢化と人口減少で都心の一等地には所有者がわからない空き家や空き地が増えるといわれ、地面師たちは虎視眈々と狙っている ※写真は本文とは関係ありません

土地の価格が高騰すれば“地面師劇団”が舞い踊る

 大手住宅メーカーの積水ハウスが55億円にものぼる巨額の被害を受けた詐欺事件によって、一躍その存在がクローズアップされた地面師。彼らは土地の所有者になりすまし、身分証や土地の権利証まで偽造。不動産のプロである購入業者を信じこませるため、土地所有者の親兄弟に至るまで役者を揃え、劇団顔負けの舞台を作り上げたのだ。まるで映画のようなストーリーを組み立て、巨額のカネを騙し取る地面師とは一体どんな連中なのだろうか。数多くの不動産詐欺事件に関わり、地面師とも繋がりがあるという広域暴力団の古参幹部の男性、K氏に話を聞いた。 「あいつらが狙う土地っていうのは、いくつか条件があるんだ。最低3億円以上、抵当権がついていないまっさら状態、所有者が高齢だったり遠方に住んでいること。パクられて長い懲役に行っても、それに見合うカネを狙うから仕掛けは大がかりになるわな。なりすまして、書類を偽造して、周りの人間も用意して……って」  K氏によれば地面師の手口そのものは、バブルの頃から変わらず、積水ハウスの1件も典型的かつ古典的な地面師のやり口だと話す。だが、技術の進歩で格段に“仕事”はやりやすくなっているとも。

3Dプリンター、フォトショップを駆使して書類を偽造

「バブルの頃、今から30年くらい前はさ、偽造免許は免許屋、印鑑は印鑑屋というように、それぞれ専門の偽造屋がいたんだよ。知り合いの地面師は権利証や謄本を偽造するためにでっかい活版の印刷機とか自前で持ってて、完全に職人芸の世界。でも、今なら印鑑は3Dプリンタ、証書はフォトショップとかで簡単に作れちゃう。おまけにカネもかかんないからね」  ここ数年の地価高騰に加え、こうした偽造の手軽さも地面師が暗躍する下地になったのでは……と、K氏は分析する。
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地面師劇団の登場
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