次に、国道197号線と大成橋で結ばれている大川集落に目を移します。大川集落の前を流れる肱川は、河原が標高30mで大川集落を守る堤防は見えている部分の堤体が高さ4m程度、堤頂部にある水防擁壁が高さ1mで、5mの実効高さを持つ中流域によくみられる低い堤防です。かつては大成橋下流500mの地点から無堤部でしたが、現在では5mの堤体を持つ堤防が完成しています。
成能バス停から対岸の大川地区を見ますと、地区全体が4m強の二階床上浸水に見舞われていることがわかります。そこで、1.2km上流に戻り大川橋を渡り、肱川左岸の県道55号線を使い、大川地区に入ります。
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国道197号線成能バス停付近より大川集落を望む 正面は大川郵便局、集落全体が、甚大な被害を受けている。 2018/10/1撮影
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国道197号線成能バス停付近より大川集落を望む 屋根の半ば以上まで水没している。2018/10/1撮影
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国道197号線成能バス停付近より大川集落を望む 一階全没・二階床上浸水だが、この家屋は修復中とみられる。護岸の上の水防擁壁の低さがよく分かる。2018/10/1撮影
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国道197号線成能バス停付近より大川集落下流側を望む やはり二階まで沈んでいる。写真右で、水防擁壁と同じ高さの堤防(堤高5m程度)が完成している。河原が標高30mなので、この一帯の堤頂部の標高は約35m。2018/10/1撮影
この県道55号線沿線の集落は、全域が水害によって大被害を受けています。大成橋対岸の大川郵便局は、全没のために完全に機能を失い、営業再開準備中という張り紙がありましたが、10月20日には内部の片付けが始まっていて、11月12日には明かりが灯っていました。
大川郵便局。 全没の被害を受け、完全に機能を失っている。10月1日には閉まっていたが、10月20日には内部の解体工事が始まり、11月12日には灯りがついていた 2018/10/1撮影
郵便局周辺の集落は、県道55号線沿いにすべて二階床上浸水で4m前後の水没です。この一帯は、堤高4mの堤防と集落の標高が同一で、堤頂部に1m水防擁壁があります。したがって、堤高5m(標高35m)ですが、洪水時の水位はそれを3m以上、上回っていたことになります。
すでに倒壊したり大破した家屋が取り壊されて、町並みは櫛の歯が抜けたようになっていますが、残る家屋にも修復不能で放置されているものが目立ちます。
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国道197号線成能バス停より大川集落下流側を望む 集落全体が2階まで水没している。2018/10/1撮影
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大川郵便局裏から大成橋取付部を撮影。肱川左岸では、堤防の高さが集落と同一で標高約34m、水防擁壁の高さが1m程度。2018/10/20撮影
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大川郵便局近くの家屋。屋根の半分以上まで水没している。左の樹木の後ろにあった建物と、後ろの白い建物の隣の建物がなくなっている。4.5mの水没。2018/10/20撮影
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通りを挟んで向かい。左の家屋は二階窓まで水没。白い家屋の前と右にあった建物がなくなっている。4m強の水没。2018/10/20撮影
大川郵便局前から上流の大川橋に戻りますが、途中の大成小学校は一階全没、その近くにある大成保育所は床上浸水で機能を失っています。
大成保育所など大洲市内4箇所の保育所は、洪水被害により機能を失ったため、大洲市はこれらを統合の上で認定こども園へ移行させようとしていますが、認定こども園は保育という視点からは問題が多く指摘されており、こういったまさに火事場泥棒的な便乗”カイカク”行為を行うべきとは思いません。原状回復が最優先でしょう。統廃合や認定こども園への移行については、そのあとに論議されるべきことと考えます。(参照:
大洲市、浸水4保育所再編へ 認定こども園移行・統合検討 愛媛新聞2018年8月29日)
避難所に指定されている大川公民館は、看板が外れるなど外構に損傷が見られますが、避難所としての機能は維持されていたことがわかっています。
大川公民館(左)と旧大成小学校(右) 。写真に写っていないが、道路反対側の大成保育所が床上浸水で機能を失っている。大川公民館は、標高がやや高いためか避難所としての機能を失わなかった。旧大成小学校は、一階水没。 2018/10/20撮影