技能実習制度への問題の対処をないがしろにしたまま行われようとしている入管法改正。政府の説明によれば、人手不足のところに限って低賃金で働かせられる外国人労働者を入れて、人手不足が解消したらそれ以上入れないのだとすれば、「雇用の調整弁」だとしか思えないのだが、その点を指摘した小池議員とその質問への安倍首相の回答の動画が紹介された。
「雇用の調整弁ではないかという小池議員の指摘に対して安倍首相の反論で出てきたのは『調整弁というとイメージが悪い』という程度の逃げでしたね。実際のところ、人手不足が解消された場合、契約関係にあれば切られないという話ですが、すぐには打ち切られないにしても年更新なので事実上一年で契約を解消できてしまうし、契約が切られれば在留資格がなくなるため強制帰国ということになるわけです。この場合、企業側の都合で簡単に切られる労働者が生まれるのではないかと思います」
長妻議員の質問に応じた山下法務大臣が「労働者の需給バランスに、人手不足の状況に応じた数の外国人材が受け入れられることになるものと考えています。そして、これは、業所管庁の求めに応じて、受入れの一時停止、これも考えております」と回答していたのを覚えているだろうか? 求めに応じて受け入れの一時停止も自在に行える。これが「雇用の調整弁」でなくしてなんなのか? 単に言葉のイメージが悪いという反論しかできない安倍首相の答弁は極めて異常だとしか思えない。
このような議論にもならない質疑が繰り返され、拙速に枠組みだけを決めようとする安倍政権。これらの実態を明らかにすべく、上西教授による国会PVは緊急に行われたのであった。
<取材・文/HBO取材班>