安田純平さん記者会見での微表情を分析。そこから見える、犯行グループへの複雑な思いとは?

シリア入りした経緯と犯行グループの名前に付随する感情

♯2(「♯+数字」は動画に付与されたナンバーです。また括弧内の数字は動画の時間です)犯行グループに促されてシリア入りしたときの場面を描写しながら、右の頬と口角が引き上がる軽蔑の微表情が現れます(5:04)。誘拐されるというミスをしまった自分に対する軽蔑か、身勝手な犯行グループに対する軽蔑の可能性を考えます。 ♯3 犯行グループの組織名について推論をめぐらすものの不明であることを描写しながら、口角が水平に引かれる恐怖の微表情(5:00)と上唇が引き上げられ、鼻のまわりにしわが生じる嫌悪の微表情(5:03)が現れます。組織名を明らかにすること・明らかにしようとする試みに何らかの理由で消極的になっている可能性を考えます。 ♯6 同じ場所に拘束されていた周囲の囚人と話をしたくなった心情を描写する場面で、「周囲にいる囚人、と、この、話をしたいな、というふうに、ちょっと思ってしまいまして。これ話してはいけないと言われていたんですけどもー(略)」と発言しながら、口角と頬が引き上げられ幸福の微表情が現れます(7:20)。拘束され被支配的立場にいる状況にあり、かつ犯行グループに課されたルールがあるにも関わらず、それを守ることよりも興味・好奇心が勝ってしまう自分の職業病的性格に苦笑している可能性を考えます。 ♯7 見せしめの拷問が今まさに行われている様子を犯行グループによって「聞かされた」ことを描写しながら、「非常に、こう、激しく殴ってー(略)」という言葉に片方の口角が引き上げられ同時に鼻のまわりにもしわが寄せられる軽蔑と嫌悪の混合微表情が現れます(7:12)。拷問に対して非道徳性及び拒否感を抱いている可能性を考えます。 ♯8 犯行グループから「盗み聞きをしたから身動きした」という「変な理屈」で拷問を受けるようになったことを描写しながら、犯行グループの「変な理屈」付けに口角と上唇が引き上がる幸福と嫌悪の混合微表情が現れます(7:25)。犯行グループの理屈を低レベル(屁理屈)なものであると思っている可能性を考えます。 ♯13 記者から「最初からガイドに騙されていたのではないか」という質疑を受けて、犯行グループに促されシリア入りしてしまった自分の行為を「凡ミス」と発言しながら、首傾げが現れます(7:57)。「凡ミス」という軽い言葉で表現して適切か否かと一瞬躊躇した可能性を考えます。 ♯15 拘束されている施設内で目隠しされて移動させられているとき、目隠しの下に空いた隙間から周りの様子を観ていたという描写をするとき、口角が引き上げられ幸福の微表情が現れます(2:21)。♯6と同様の解釈と考えます。 ♯16 「犯行グループを暴くべき」という発言をしているとき、「暴くべき」という言葉が生じるまでに不自然な間が現れます(2:33~41)。♯3と同様の解釈と考えます。 以上の分析をさらに整理します。
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表情分析から見る「犯行グループ」像
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シリア拘束 安田純平の40か月

2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える