米、風疹激増の日本へ妊婦の渡航自粛を要請。渡航警戒レベルをエボラ出血熱と同等に

アメリカではエボラ出血熱と同じ警告レベル、深刻なワクチン不足

ワクチン

筆者が接種した風疹・麻疹の混合ワクチン。8640円(税込)

 米CDC(疾病対策センター)は日本の風疹流行を「レベル2」にランクづけした。3段階の警告レベルのうち、2番目の重要度のもので、これはエボラ出血熱と同じ警告レベルだという。「予防接種や過去の感染歴がない妊婦は日本に渡航しないよう」という自粛勧告まで出している。日本では危機意識があまり高くないが、米国政府はかなり深刻な状況とみているようだ。  これらの事態を受けて、東京都は10月26日に、いままで妊娠を希望する19歳以上の女性に限定していた抗体検査や予防接種への補助を、妊婦や妊娠を希望する女性の同居者にも広げると発表した。  ただ、都道府県や厚生労働省はワクチン接種を勧めているが、肝心のワクチン自体が深刻な品不足になっている。北海道在住の20代男性は病院にワクチン接種をしに行ったら、「混合ワクチンが不足していてありません。いつ入荷する見込みかも分からない」と言われたという。  北海道だけではない。感染者の多い東京の医療機関でも、ワクチン不足が深刻化している。東京都がワクチン接種を勧めてきたのに、肝心のワクチンが品薄なのだ。「しばらく接種を見合わせる」という医療機関が続出している。これでは、感染拡大が止められない。  東京都の対応は後手後手に回っている。ある医療関係者は「まずはメーカーにワクチンの増産を指導すべきだったのではないか。ワクチン増産なしに接種だけ推奨すれば、品薄になるのはわかりきったことではないか」との恨み節が聞こえてくる。  国や都の無策に業を煮やした医療機関にはMMR(麻疹、おたふくかぜ、風疹)ワクチンを輸入して希望者に接種する医療機関も出てきた。  筆者は10月26日に風疹・麻疹の混合ワクチンを接種した。税込み8640円。アメリカ政府が妊婦の日本渡航自粛を呼びかける深刻な事態なので、早期にワクチンを接種することが肝要だ。 <取材・文/及川健二(日仏共同テレビ局France10日本支局員)>
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