増える悪徳[免税転売]。消費税増税は犯罪組織を利する可能性も
日本政府観光局によると、’18年上半期(1~6月)の訪日外国人数は、前年同期比15.6%増の1589万人となり、6年連続で過去最高を更新した。そんななか、政府が打ち出した外国人観光客の誘致策が、一部のならず者たちに食い物にされていることが取材で明らかとなった。
狙われたのは外国人旅行者向け「消費税免税制度」。旅行者など日本の非居住者が、許可を受けた免税店で商品を購入した場合、国外に持ち出すことを前提に消費税が免除されるというもの。同制度を悪用し、日本人や日本在住の外国人が外国人旅行者を動員して免税購入した商品を転売して利ザヤを稼ぐ行為が、密かに横行しているのだ。
「短期ビザ所持の中国人大募集! 腕時計の代理購入 12時~15時まで! 日給1万5000円」
これは中国版LINEといわれる「微信(ウェイシン)」上のグループに書き込まれたメッセージだ。一見、よくある転売ヤーのバイト募集に見える。しかし、着目すべきは短期ビザ所持者に限って募集している点だ。なぜなら日本の滞在が91日以上になるビザを持つ外国人に、消費税免税は適用されないからだ。
《グループに投稿された募集内容・日本語訳》
“半年以内に免税で時計を買ったことがない、親族訪問ビザ、観光ビザ15日、30日、90日などあらゆる短期ビザを持つ方! 車はこちらで用意。10時30分~18時までで2万5000円の日当。条件:半年以内に時計を買ったことのない短期ビザ所有者。毎月募集。1日に1人募集。中野、六本木、新宿、御徒町、上野、渋谷など(一部省略)”
こうした募集に、母親が応募したという、日本在住の中国人女性Cさん(30代)に話を聞いた。
「2か月前、短期滞在ビザで私を訪ねて東京に滞在していた母親に、小遣い稼ぎのつもりで応募させたんです。応募するとすぐ返信があり、翌日に(都内の)中野駅に来るように指示された。母を伴って指定された時間に行くと中年の男が待っており、中野ブロードウェイにある時計店に連れていかれました。男は高級腕時計を3本購入し、分厚い札束をカバンから取り出して支払った。その際、母のパスポートを渡すように言われ、指示された通りに書類にサインした。やることといえばそれだけでした。男は、時計店の店員とは顔なじみのようで、親しそうに話していた。私たちとはそれまで中国語で会話していたので気がつきませんでしたが、そのときの日本語の流暢さから、彼は日本人か日本育ちの中国人なのだなと思いました」
高級時計を免税で大量購入! 転売して消費税分を掠め取る
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