高プロは裁量労働制と異なり、働き方の裁量性は法的には確保されていない(ただし、検討中の省令・指針で一定の裁量性が確保される可能性はある)。
裁量労働制の場合は労働基準法の規定において、時間配分の指示をしないこととすることが次のように明記されている。
専門業務型裁量労働制については、
労基法第38条の3において、対象業務が
「業務の性質上
その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、
当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務」
と規定されており、
「
対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと」
を協定に定めなければならないことが規定されている。
企画業務型裁量労働制についても、
労基法第38条の4において、対象業務を
「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であつて、
当該業務の性質上これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする業務」
と規定している。
しかし、高プロについては法律にそのような規定がないのだ。政府は
「高度の専門的知識等を必要とし、
その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務」(
法改正後の第42条の2第1項)
という対象業務の規定から、具体的な時間指定を受けないことが読み取れると答弁していたが、裁量労働制に関する書きぶりと比べると、到底そうは読めない。
「従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められるもの」なんて、ほとんどの仕事はそうだろう。会議資料を作成するのだって、4時間かければ2時間分の2倍のページ数が仕上がるわけではない。
そう考えれば、ほとんどのホワイトカラーの仕事は「従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないものと認められるもの」だ。将来的にホワイトカラーの仕事を幅広く含めることができるように、このような緩い規定にしたのだろうとも考えられる。