野党は国会を見据えて行動を。野党もできる実のある国会改革

野党主導の国会改革とは

 与党主導の国会改革がとん挫したとすれば、期待されるのは野党主導の改革です。一つの案がうまくいかなければ、異なる主体が案を出せるというのが、一党独裁でない国家体制のいいところです。  しかし、野党主導の国会改革は、与党主導よりも困難を極めます。なぜならば、国会の多数派(正確には衆議院の多数派)が与党となるため、野党である時点で、国会の少数派であることが定まっているからです。  国会は、すべてにおいて多数派の論理が優先されます。多数派が野党を含めた全会一致を求めれば、野党の発言力は大きくなりますが、多数決を至上とすれば、野党の発言力は無に近くなります。  そこで、野党には、2つの異なるアプローチを用いて、国会改革を主導することが求められます。  一つは、野党が多数派(=与党)になったときの国会運営について、野党の間に合意を形成しておくことです。与党と異なり、野党は一つの政治ブロックに固まっているわけではありません。与党に対して共闘することもあれば、別々の枠組みで政権を狙うこともあります。とはいえ、国会運営で与党に翻弄されているという立場は共通します。そこで、どのような政権枠組みになるかは別にして、どの野党が多数派になったときも実行する約束で、共通の国会改革案を作成しておくのです。野党間で意見の隔たりがある点は、そのまま保留にしておきます。  そうすると、野党(あるいは与党)が一方的に有利になる国会改革案となりにくく、バランスの取れた改革案となりやすいでしょう。野党を有利にするだけの改革案ならば、与党になったとき困りますし、その逆ならば与党に利用されてしまいます。  これを政権交代ごとに繰り返していけば、有権者の求める国会に近づいていくでしょう。まずは、現在の野党の国会対策委員長たちの下に、各党の代表からなる合同検討チームを設けてはどうでしょうか。

合同予備審査の実施

 もう一つのアプローチは、野党合同の予備審査を実施することです。  予備審査とは、国会に提出される議案について、提出前に検討する機会です。通常は、各党の政策調査部門の部会として開かれ、提出者(多くは政府の官僚)を呼んで説明を受け、質疑応答をしたり、意見を述べたりします。  与党は、この機会を検討だけでなく、決定プロセスとし、与党の党議決定なくして、政府議案の国会提出を禁じています。これが「与党事前審査」です。他方、野党の場合は、あくまで説明の聴取と質疑等にとどまり、決定プロセスにはなっていません。  予備審査そのものは、国会での本審査を左右する重要な機会です。国会での審議に先立ち、議員たちが議案を理解することで、様々な角度から検討をしたり、関連する情報を集めたり、現場や当事者を調査したりする前提となるからです。  本来は、予備審査を衆参合同の小委員会などとして、公式・公開の場とすることが必要です。なぜならば、政党主催の非公式・非公開の予備審査では、国会議員の意見が法案に変化を加えたとしても、そのことが外部から分からないためです。これまで、それが不透明な政策決定や利益誘導の温床になってきました。  予備審査を衆参合同で行うことには、行政の効率化の面もあります。しばしば、行政の国会対応によって、官僚たちが深夜遅くまで仕事することを余儀なくされると、報じられています。そのことに間違いはないのですが、一般的に考えられる「国会対応」と官僚の認識している「国会対応」には、違いがあることに留意しなければなりません。一般的には、国会の本会議や委員会、質問主意書などへの対応が「国会対応」と考えられています。官僚の認識では、それらに加え、各党・各議員からの説明要求や陳情対応、資料作成なども「国会対応」に含まれます。とりわけ、与党への対応は、局長・審議官級というハイレベルでの対応を求められ、事前の調整業務は膨大になりがちです。  そこで、野党の政策調査部門における政府議案や重要な問題の説明聴取について、野党合同で行うことを慣例化するのです。もちろん、詳細な説明や党のこだわりについては、各党での説明を受けることもあり得ます。ただ、各省庁の予算案や法案における基本的な説明については、野党合同で行っても差し支えないでしょう。  それだけでも、各省庁にとっては、業務量が大幅に減じます。いちいち各党の政策調査部門の会議日程を調整しなくて済むからです。官僚たちは、別の業務に従事できる時間が増えます。  野党各党にとってもメリットがあります。各党で別々に聴取日程を調整するより、各党で調整を割り振れば業務量を減らせます。その分、省庁からの出席者を次官級などのハイレベルにさせたり、質疑応答の時間を長く取ったりもできます。
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