政治のプロセスとは、
国会や内閣と有権者との間における、日々のやり取りのすべてです。ついつい選挙結果がすべてで、
国会議員に白紙委任しているように感じることもありますが、それは勘違いです。プロセスにおいて、選挙がもっともダイナミックな変化をもたらしやすい故の錯覚です。
そのやり取りは、
有権者の意思を忠実に表したものでなく、プロセスを通じてデフォルメされたものです。それらのデフォルメは、かつては意味を有していたかもしれませんが、少なくとも現代社会では、一部の人の声を大きくし、一部の人の声を小さくするように作用しています。
この連載を通じて、一人でも多くの方が、こうしたデフォルメに気づいてくれれば嬉しく思います。そして、デフォルメを小さくするために、行動を始めてくれれば、もっと嬉しく思います。
さて、本連載では、論点を明確にするため、多くの説明や論点をバッサリ斬ってしまいました。一票の格差や女性議員の増加、国会の定数、国会改革の詳細、内閣の意思決定など、デフォルメを小さくするための論点は、他にもあります。選挙制度も色々と考えられ、例えば参議院を大選挙区にした上で、連記制(定数分の票を有権者がもつ)にすることも、一つの考え方です。
それらについては、機会を改めて解説したいと考えています。連載をお読みいただき、ありがとうございました。
【短期集中連載】なぜ政治へのあきらめが生まれるのか? 民意をデフォルメする国会5重の壁 最終回
<文/田中信一郎>
たなかしんいちろう●千葉商科大学特別客員准教授、博士(政治学)。著書に『
国会質問制度の研究~質問主意書1890-2007』(日本出版ネットワーク)。また、『
緊急出版! 枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)では法政大の上西充子教授とともに解説を寄せている。国会・行政に関する解説をわかりやすい言葉でツイートしている。Twitter ID/
@TanakaShinsyu