ニューヨーク、マンハッタン島南部に位置するウォール街。世界の金融・証券取引を左右する
すでに指摘したように、各国株式市場の株価動向を観察していると、その前に開いていた市場の影響を受けていることがわかります。NY市場は欧州市場の影響を受けやすいし、東証の株価の動きは、NYダウ、NYでのドル円相場、シカゴ日経平均先物の動きにかなりの程度連動しています。
ですから特にNYダウ、ドル円相場、シカゴ先物の3つのデータを重点的にチェックします。そうすれば、東京市場の寄り付きが予想できます。
もちろん、完全に予想できるわけではありません。地震や災害などの天変地異や予期せぬテロ事件が突発することがありますし、トランプ米大統領の気まぐれ発言で世界が揺れる場合もあります。しかし大きな流れとして、「今日の東京市場はこうなりそうだ」という見通しを持つことが可能になります。
ダウ、ドル円相場、シカゴ日経先物の3つの指標の動きから、東京市場の今日の株価(日経平均)の寄付きが前日比でプラスになるかマイナスになるかが予想できれば、東京市場が始まる前に売り予約や買い予約をすることが可能になります。
予約価格は市場が始まってから必要な修正をしますが、私の場合、東京市場開始後30分が勝負と見て売買しています。時間にゆとりがある場合は10時頃まで株価を見ますが、急ぎの用事がある場合は30分で切り上げます。これで今日1日の取引は終了です。
ネット株取引というと、1日中パソコンと睨めっこしていないといけないと誤解する向きが多いと思われますが、市場開始後30分から1時間程度時間を割くだけで充分です。効率のよい省エネ投資術だと思います。
そのほか、株価は季節によって周期的に変動する癖があることもわかりました。株の業界では、株に季節性があることがよく知られており、それに関することわざもあります。
また、東証市場の特徴の一つに、外国人売買が多いことも指摘できます。最近では日本の個人投資家や法人投資機関などによる売買よりも、外国人投資家・機関による売買の方が圧倒的に多いのです。これらの特徴を視野に入れ、売買することも必要です。
◆石橋叩きのネット株投資術 第17回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『
新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『
ゼミナール日本経済入門』(同)、『
環境経済入門』(日経文庫)、『
環境再生と日本経済』(岩波新書)、『
サッチャリズム』(中央公論社)、『
サステナビリティ経営』(講談社)など。