豊洲新市場があるところは、都内で生活している人でさえ「不便」だと感じるような場所です。JR山手線の有楽町駅から地下鉄の有楽町線に乗り換えて8分。ただし、ここからゆりかもめに乗り換えて市場前駅に行かなければならないので、トータルでは20分以上かかります。新橋駅から「ゆりかもめ」に乗って行く場合でも27分。一方の築地市場は有楽町駅や新橋駅から歩くことも可能で、タクシーなら5分程で到着します。便利な場所に移転するならともかく、交通インフラがまったく整備されていない不便な場所に移転するというのですから、誰にもメリットのない話なのです。
これまではシェフが自ら築地で仕入れてランチ営業していたお店が、アクセスの悪い豊洲市場まで行っていられないので、ランチ営業を取りやめる、もしくは豊洲市場から仕入れないということになれば大ダメージです。
誰も試算してくれないと思いますが、豊洲市場に移転したことによる経済損失は建設費の5700億円を軽く上回ってしまうのではないでしょうか。強引に移転するからには反対した人たちでさえ「豊洲に引っ越して良かったこともある」と思ってもらわなければなりませんが、今のままでは確実に賛成していた人たちさえ後悔することになりそうです。
そもそも赤字を垂れ流し、使い勝手が悪く、アクセスまで悪いという経営戦略を考えた人間が誰もいないような市場が、再び築地のようなブランドを築き上げることができるかと言ったら、そんなことはないでしょう。
日本の食文化を世界に発信するためには、豊洲を一時的な引っ越しの場として、再整備して築地に戻すべきだと思います。これまでの歴史を無条件に手放し、職人たちを引退させるなんて愚の骨頂です。東京都知事選は2020年に行われますが、まずは小池百合子さんが都知事ではなくなることが東京の新しい未来を築くための第一歩かもしれません。
<取材・文/選挙ウォッチャーちだい(Twitter ID:
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ちだい●選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材活動を行う。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどをTwitterやnote「
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