共産党では、大きな拍手と笑顔を花束贈呈で迎えられた後、志井和夫委員長らと意見交換。この時に「政権交代」という言葉も飛び出した
続いて、玉城知事は共産党へ挨拶回り。大きな拍手と笑みと花束贈呈で迎えられた。玉城知事は、安倍政権と対立し続けた翁長前知事の苦しさについてこう語った。
「先ほど官邸で総理と菅官房長官とお会いしまして、感じたのは『翁長さんが非常にご苦労をされた』ということです。もともと自民党で一緒だった人が新基地反対側に行った。(自民党沖縄県連幹事長も務めた保守政治家の)翁長さんが『もともと自民党で一緒にやっていた自分の思いをくみ取ってもらえるだろう』と思っていたことと、官邸側が『もともと一緒にやっていたのに向う側に行ってしまった』と思ったこととの接点が最後まで作れなかったのだろうと思いました」(玉城知事)
安倍政権は4年前、辺野古容認に転じた仲井真弘多・元知事(自民推薦)を破った翁長前知事と4か月間も会おうとしなかった。就任8日後の10月12日に初面談をした玉城知事とは、全く違う対応をしたのだ。
玉城知事はこんな言い方もした。
「安倍首相は『翁長知事の場合はもともと自民党にいた。その方が「向こう側に行ってしまった」ということでモヤモヤがあった』と言っていました。翁長知事は非常に苦しかったと思います。『元自民党だった自分が、こうした(辺野古反対の)立場になっている本質を分かってほしい』という思いがあったが、終ぞかみ合わなかった。届かなかった。安倍首相は『デニーさんが国会活動をしていたので、立場は違うけれどもなじみがある』と言っていました」(玉城知事)
これをそのまま解釈すれば、翁長前知事には近親憎悪のモヤモヤ感があったが、玉城新知事の場合はもともと野党国会議員だったので親近感すら抱いているということになる。しかし感情的な部分はさておき、新基地建設への立場の違いは明確だ。
国内は政権交代、国際的には基地問題解決の“両面作戦”
志位和夫委員長はこう激励した。
「県知事選で民意がはっきりと示されたので、デニー知事を先頭とする『オール沖縄』の戦いを、共産党の衆参国会議員団をあげて支えていきたい。他の野党とも協力してやっていきたいと思います。
『オール沖縄の戦いと市民と野党の共闘がリンクした』という状況になって来ている。新しい発展だと思うので、それまでデニーさんが国会で野党共闘を進めて来た力が、今後は『オール沖縄』を後押しする支える力になると思います。ぜひ、この両方の力を合わせて『誇りある豊かな沖縄を作る』ということを一緒に進めていきたいと思います」(志位委員長)
これに対して玉城知事は「政権交代」という言葉を使ってこう答えた。
「国政では来年の参院議員選挙があり、沖縄では(衆院沖縄3区の)補欠選挙があります。皆様と恐らく私も、『知事として』というよりも『自由党の議員だった』ということと、沖縄での連携の関係の中ではしっかりとコミットをしながら協力をしていって、『皆さんで将来の政権交代を目指す』という歩みに力を、私なりに微力ですが、関わることができればと思っております。
ぜひ、今後ともよろしくお願いします。県知事選に続いて豊見城市長選(10月14日投開票=玉城知事応援の山川仁氏が当選)と那覇市長選(10月21日投開票)、この3つを勝つことは全国に影響を広げて行くと思いますのでよろしくお願いします」(玉城知事)
政権トップ(安倍首相と菅官房長官)との初面談で、玉城知事の“両面作戦”が見えてきた。それは、アメリカを含む国際論に安倍政権の新基地建設に対する強行姿勢を訴える一方で、国内では野党連携(市民も参加する“オール沖縄方式”)で地方や国政の重要選挙で連戦連勝し、安倍政権を交代へと追い込んでいくというものだ。
「日本の政治は沖縄から動く」という状況になりつつある中で、玉城知事の言動は今後ますます注目されていくに違いない。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数