玉城知事「11月にも訪米して、沖縄の基地問題を訴えたい」
これを聞いた玉木雄一郎・国民民主党代表が「今までにない世論にも訴える方法、パブリック・デイプロマシー(public diplomacy=広報文化外交)ですね」と感心すると、原口氏もこう続けた。
「特にデニー知事はお父さんが海兵隊員です。アメリカでは海兵隊員はもの凄く尊敬されているから、そのコミュニティに訴えるのはデニー知事しかできません」
これに呼応するように玉城知事は「(県庁関係者に)『11月にも訪米をしたい』と話しています」と早期訪米への意欲を口にした。しかも『ニューヨークタイムズ』が社説で「沖縄の民主主義を考える時に来ている」と書くなど、父親が海兵隊員の玉城知事誕生でアメリカの雰囲気も変わりつつあるのは間違いない。
もちろん沖縄県議会の合間を縫う必要があるが、知事就任を受けた10月の臨時議会は16日から26日の11日間、そして12月の定例議会は11月末から12月にかけて。
そのため、アメリカの中間選挙が終わる11月6日以降で、沖縄の12月定例議会が始まる11月末以前であれば、早期の訪米は日程的には可能だ。
「その時期に、国会議員や政府関係者らアメリカの要人にアポが取れるのかを調べる必要がある」とも玉城知事はぶら下がり取材で記者団に話していた。11月の訪米が具体化するのかが注目される。
翁長県政時代、基地反対の報復に一括交付金が大幅減額
古巣の自由党では最も家庭的な雰囲気で意見交換。「良かった、良かった」と喜ぶ小沢一郎代表に、玉城知事が「(政権交代実現まで)引退できませんよ」と声をかける場面もあった
国民民主党との意見交換では、辺野古反対を貫いた翁長県政時代、菅官房長官が一括交付金を4年間で600億円も減らしたことも話題になった。玉城知事はこう答えた。
「菅官房長官に対して『(玉城県政では)一括交付金を増やすことはあっても減らすことはないでしょう』と言いました。菅官房長官は『子供の貧困や医療問題は大事です』と言ったので、私は『子供たちは将来の人材になる、子供たちや子供たちを育てている家庭の環境を支えることは、コストではなくて投資と我々は思っている。みんなが安心感を持つ社会を作れれば、もっと日本全体に活気が出てきます。そのためにこそ、沖縄として頑張りたい』と訴えました」(玉城知事)
なお翁長県政での一括交付金減額について玉城知事が「菅官房長官は『普天間基地閉鎖のための辺野古新基地建設に3000億円の予算をつけたため』と言っていた」と話すと、すぐに「ひどい話だ」(原口氏)という声が出た。
民主党政権時代に導入された「一括交付金」は、従来の“ヒモ付き補助金”と違って使途の自由度が高く、地方自治体にとって好ましい予算であったが、安倍政権は一括交付金減額の代わりに辺野古新基地建設予算を増額していたのだ。中央政府による地方自治への介入であり、辺野古反対を貫いた翁長知事への露骨な報復措置(嫌がらせ)とも言われている。