そんなバチェラーパーティだが、同様の試みを日本で行ったらどうなるのだろう? その効果を検証するべく、翌週に結婚式を控える友人と近所の飲み仲間、総勢5人で群馬県の伊香保温泉へと旅してみた。
お金をかけずに連帯感を演出するため、いい歳した大人がお揃いのシャツに身を包む
31~37歳という年齢層の5人は、共通のバーで知り合ってから約4~5年。学校の同級生や地元の幼馴染ではないが、OVER30でバチェラーパーティに仲間を集めるには、これぐらいの関係性が現実的かもしれない。
そんな5人は3連休の初日、朝9時半に新宿に集合。連帯感を出すため、同じデザインのTシャツを着用し、レンタカーで群馬県へと向かった。レンタカーや宿はすべて幹事が予約。しかし、そのほかの予定はほぼ立てることなく、車内でネット検索することに。
より密度の高いバチェラーパーティを楽しむなら、事前の準備が必要かもしれないが、今回は初めてということもあり、行き当たりばったりで地方観光することとなった。
途中、PAや道の駅にも寄りつつ、クルマを走らせること3時間。伊香保温泉に到着した5人は、日本3大うどんのひとつである「水沢うどん」を食すことに。そもそも、「日本3大うどん」なるものが存在したことも知らなければ、水沢うどんも食べたことがなかったが、こういった“トリビア”を学び、体感できるのもバチェラーパーティの良さかもしれない。
榛名湖はあいにくの曇り空だった
水々しいサッパリ感の水沢うどんで腹を満たすと、続いては榛名湖へ。ロープウェイと湖の貸しボートを利用したが、あいにくの曇り模様で霧が強く、山頂からの景色は楽しめず……。
道中気づいたのは、国道沿いは全国チェーン店ばかりが立ち並んでいること。レンガ風の外壁が特徴の某コンビニの跡地に入ったステーキチェーン、ガソリンスタンドの跡地に入ったコインランドリー……。近隣住民には便利なのかもしれないが、全国どこに行っても目にする店ばかりが並ぶのは、はたしていいことなのか? ローカルチェーンのスーパーを通り過ぎるまで、“地方感”はやや希薄だった。
宿にチェックインしたあとは食堂でバイキング形式の夕食。40代と思しき家族づれや50~60代の団体客ばかりで、30代やそれ以下の観光客はまるで見当たらない。あるいは20代は“インスタ映え”を求めて、温泉街の名店に行っているのかもしれないが、100人近く宿泊客がいる食堂に同年代が皆無なのには違和感をおぼえた。
温泉らしさを味わおうということで、夕飯後は卓球場へ。しかし、ここでも遊んでいるのは家族づればかり……。30過ぎの男5人で真面目に卓球をしているのは、やや異様な光景だったかもしれない。
そして深夜は地元のスナックへ。調べてみると伊香保温泉は数年前から外国人の売春問題などに揺れていたそうで、お店の前で客引きをする女性にも、東南アジア系の人間は多かった。
昼間は大勢の観光客で賑わう石段。しかし、脇道に入ると廃墟と化したホテルも
また、最大の観光地である石段から少し脇道に入ると、廃墟化したホテルも少なくない。地元住人に話を聞くと、「賑わっているように見えるけど、それは目につく一部だけ。バブルの頃にホテルが乱立したけど、経営難でバタバタつぶれてるよ。こうやって遊びに来てくれる人が増えるといいんだけどね……」と、切実な声が。
一晩泊まりにきただけの観光客からの目にはなかなか見えづらいが、一見盛り上がっているように見える観光地でも、地元住民の悩みは尽きないようだ。スナック店員の女性にも話を聞いてみた。
「温泉街なんて観光客を相手にするぐらいしかないですからね。こんなところ酒を飲むくらいしかやることないですよ(笑)。温泉街のど真ん中から新宿まで、2000円程度で行ける高速バスができたので、たまに首都圏にも遊びに行きますけど……。以前は新幹線を使うしかなかったので、割高でした。すぐ来れるから、お兄さんたちもまた遊びに来てくださいよ(笑)」