ドン・キホーテの本店格の店舗「渋谷本店」。渋谷唯一の「総合スーパー」として地域住民からの指示も集める
ついに「流通再編の切り札」といわれる企業が動いた。
ディスカントストア大手の「ドンキホーテHD」(目黒区、以下ドンキHD、社名変更予定)は、業務資本提携している「ユニー・ファミリーマートHD」(東京都豊島区、以下ユニー・ファミマHD)の子会社である大手総合スーパー「ユニー」(名古屋市)の全株式を取得することを10月11日に発表。合わせて、ユニー・ファミマHDはドンキHDの株式を株式公開買い付け(TOB)で最大約20パーセント取得することも発表した。
かつて大手スーパー「長崎屋」やダイエーの海外店舗を買収、この8月にも西友買収への興味を示すなど、流通再編の立役者となりつつあるドン・キホーテ。「大手スーパー・コンビニ・ディスカウントストア」融合のメリットとは果たして――。
ドンキ、「モール3つ分」の価格でユニーの買収完了へ
ドン・キホーテは1978年にディスカウントストア「泥棒市場」として西荻窪で創業。1989年に「ドン・キホーテ」1号店を東京都府中市に出店して以降、急速に店舗網を拡大し、2017年11月の「MEGAドン・キホーテ山科店」開店により総店舗数は400店舗を突破している。
ドンキHDは、2017年11月にユニー・ファミマHDと業務資本提携を実施し、ユニー・ファミマHDの100パーセント子会社となっていた総合スーパー「ユニー」株式の40パーセントを取得。さらに「UDリテール」を設立し、2018年2月からはユニーの既存店6店舗をドンキ主導型のユニーとドンキのダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換していた。
今回、ドンキは残るユニー株60パーセントについても取得することを発表。ユニーはドンキの完全子会社となる。譲渡時期は2019年1月、取得額は約282億円。この額は、仮にユニーが展開しているショッピングセンター業態「ウォークモール」の新築費用に換算すると僅か3~4店舗分でしかない。ユニーの店舗に長く親しんだ人にとってみれば「年商7000億円規模のユニーが格安で買収されてしまった」という事実にショックを受ける人も少なくないであろう。
ユニーの大型店「ウォークモール」業態の店舗(ユニー・レイクモール岡谷)。長野県岡谷市の中心部に立地するこの店舗は2016年に開業したばかり
また、ユニーの金融子会社でクレジットカード発行などをおこなう「UCS」もドンキの孫会社となる。