ユニーの店舗といえば、イオンやイトーヨーカドーと同様に「明るくて通路が広いショッピングセンター」がイメージされる(最も、それよりも古い世代の「街なかの総合スーパー」といった店舗も少なくないのだが)。
ユニーの主力業態である中規模ショッピングセンター「アピタ」(山梨県中央市、閉店済み)。ユニーの店舗といえば「この形」をイメージする人が多いであろう
しかし、こうしたユニーの店舗(アピタ・ピアゴ)からダブルネーム店舗「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換された店舗を訪問すると、館内の雰囲気はかつてとは一変。内装、陳列、値札などの殆どが「ドンキ流」へと改められており、店内にはうず高く段ボールが積み上げられ、天井からは「驚安」のPOPがこれでもかとばかり大量にぶら下がる。
商品についてもドンキでお馴染みのパーティーグッズ売場が設けられるなど殆どがドンキの仕入れルートを通じた品揃えになっているとみられ、ユニーの面影が残るのは生鮮食品売場くらいであった。また、営業時間についても、全てのダブルネーム店舗において閉店時間が「24時から26時」へと改められている。
MEGAドン・キホーテUNYの店舗(ニュースリリースより)。外観もほぼ「ドンキ仕様」へと変わっている
しかし、何といっても以前と変わったのは「店内の活気」だ。こうした「変貌っぷり」は、ドンキが2008年に完全子会社化した総合スーパー「長崎屋」を改装して生まれた「MEGAドン・キホーテ」でも同様であるが、一番に感じられるのが「客層の若返り」だ。
「賛否両論」もあったユニーのドンキ転換であったが、ドンキHDの発表によるとこれまで「MEGAドン・キホーテUNY」へと転換した6店舗では「転換後の2018年3月~8月の6ヶ月間において、累計の売上高が昨年同時期の68億円から132億円と昨対比約190パーセントを、6店舗累計の一日当たりの平均客数が約20,000人から約32,000人と昨対比約160パーセントを記録」したといい、長崎屋でも見せた「総合スーパー再生の手腕」は本物であったと言わざるを得ない。
ドンキは長崎屋の殆どの店舗についても「メガドンキ」に転換・再生させている
同社は2019年にもユニー店舗のうちさらに約20店舗をドンキ主導のダブルネーム店舗へと転換する方針を発表していたが、10月11日に行われた記者会見では、今後5年間でユニーの店舗のうち約半数にあたる100店舗をこうしたドンキ主導型のダブルネーム店舗へと転換させる考えを明らかにした。
一方で、ユニーはイオンモールなどに対抗すべく大型ショッピングモール「ウォークモール」を展開。こうした「ウォークモール」や「アピタ」業態の大型店は、地方都市では「地域の顔」として百貨店のような使い方をされている地域一番店も少なくなく、また元々「百貨店」「百貨店業態」だった店舗の跡に出店している事例もある。
「地域の核」となるような巨大店舗も少なくないユニー。写真の「ユニー・アピタ四日市店」は百貨店・松坂屋の跡に出店した店舗だ。(提供:地理人研究所)
こうした店舗の「ドンキ化」には、地元自治体やテナントを「説得」することも必要になってくるうえ、深夜営業をおこなうためには新たな従業員の確保や労働組合、周辺住民への説明も不可欠であり、「今後の処遇」についても注目される。
落ち着いた雰囲気のウォークモール業態店舗の館内。果たして「ドンキ化」されるのだろうか