ドンキ、ついにユニーを買収!――「世界展開」目指すドンキ、その思惑とは?

ドンキ+コンビニ融合のメリットとは?

 さて、今回は「ドンキのユニー買収」のみならず、ユニー・ファミマHDがドンキHDの株式を株式公開買い付けにより約2119億円を投じて最大20.17パーセントを取得、持ち分法会社にすることも発表されている。  29期連続で増収増益を達成するなど単独での成長を続けていたドンキがユニー・ファミマの資本を20パーセントも受け入れることは少し意外に思えるが、これについてドンキの大原社長は「GMS、ディスカウントストア、コンビニエンスストアの3業態を持つ4兆7000億円の流通グループの有機的結合」による成長を掲げている。  それでは「ドンキ」と「コンビニ」融合のメリットとは一体何であろうか。  ドンキとコンビニの融合例として思い浮かぶのが、ファミマが今年から都内3店舗で展開しているドンキとの実験的融合店舗「ファミリーマート PRODUCED BYドン・キホーテ」だ。これらの店舗では、ドンキ流の陳列・販売手法を取り入れることで取扱商品を増やし、売上の拡大に成功している。  しかし、今後の「融合」はこうしたコラボ店舗のみには留まらないであろう。  従来のドンキや総合スーパーには無かった「コンビニならでは」のサービスの代表格といえるのが、コンビニ各社でお馴染みとなったチケット発券などをおこなうマルチメディアキオスク端末、マルチコピー機などの存在だ。  ファミリーマートでは、ユニーと経営統合後の2017年3月よりユニーが運営する総合スーパーの店内にコンビニならではのサービスを提供することに特化した「ファミマサービススポット」の開設を進めており、ユニーの店舗内で公共料金の支払いなども行えるようになった。今後は、こうした施設やマルチメディア端末がドン・キホーテの既存店舗内へと設置される可能性も高いであろう。
ファミリーマートサービススポット

ユニーのスーパー内に設置された「ファミリーマートサービススポット」。(画像は同社のニュースリリースより)

 もちろん、ドンキにとってそれ以上に大きなメリットといえるのが、ファミリーマートが持つ「海外展開ノウハウ」を取り入れることができるということだ。  ファミリーマートは西武セゾングループだった1988年に台湾に海外1号店を出店させて以降、展開地域を広げており、2018年9月現在アジア各地に約7,200店舗を展開。店舗運営において現地資本の導入を積極的におこなうなど「現地化」も進んでおり、今や日本発の流通企業としては最大級の店舗数を誇る。もちろん、こうした急速な海外展開を進めることができた背景にはユニー・ファミマHDの株式を約35パーセント保有する大手商社「伊藤忠商事」の存在も大きい。
ファミリーマートの海外店舗

ファミリーマートの海外店舗(台北市)。日本の店舗と変わらない雰囲気でありながらオリジナル商品も多い

 一方、ドン・キホーテが初の海外進出を果たしたのは2006年。ダイエーが米国ハワイ州で展開していた店舗を買収したことがきっかけであった。  現在ドンキHDは成長戦略として「東南アジアを中心とした世界各国への店舗展開」を掲げており2018年9月現在は海外に39店舗を展開するものの、そのうち37店舗は米国においてダイエーやその他の日本食スーパーなど他社事業を買収した店舗ばかり。実際にドン・キホーテとして新規出店した店舗は、2017年以降シンガポールで展開している「ドンドンドンキ」2店舗のみに留まる(なお、このほか10月中に米国に1店舗出店予定)。  今回の買収・業務資本提携の裏には、海外での事業拡大を確実に成功させるためにファミリーマートと伊藤忠商事のノウハウや商品調達力、資本力を味方に付けたいドン・キホーテの思惑が大きいものと思われる。
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世界をめざすドンキHD、社名変更も発表
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