市民権を得たクラウドファンディング。その一方でトラブルも増加

「一概にクラウドファンディングといっても、物品購入型、寄付型、投資型などプロジェクトの性質によって対応する法律、契約関係が異なるのが特徴です。また物品購入型であっても、単純な売買契約とは異なり、ケース・バイ・ケースでの対応が迫られます」  では、実際に被害に遭ってしまった場合はどうなるのだろうか。 「メールや画像のキャプチャなど、証拠を保全するのは鉄則です。しかし、クラウドファンディングの性質上、仮にプロジェクトが頓挫しても救済が得られないケースが多い。プロジェクトが頓挫したり変更されることもあるため、自分が背負うリスクを理解した上で参加することが重要でしょうね」  クラウドファンディングはあくまでも支援。通販サイトで買い物をする感覚で参加するのは、危険なのである。 《クラウドファンディング事件簿》 ●studygift ’12年に家入一真氏がプロデュースした学費支援サイト「studygift」において支援金の使途説明が不十分という理由から、最初の支援候補者の女性に批判が集中。55時間で100万円近い金額を集めるも、結局は全額返金のみならずサービスも廃止。 ●ドローンLily 画期的な性能と低価格で大評判を得たアメリカの自動追尾ドローンLily。総額43億円を調達するも一向に発売されず、さらに話題を集めた宣伝動画ではドローンを使っていないウソもバレて事業停止。6万1450人の顧客から集めた3840万ドル(約43億円)の返金を業者は約束したが、ほとんど返金されることはなかった。 ●ワイヤレスイヤホンAir Airpodsよりコンパクトな外観と、超品薄なAirpodsの代替品としての期待からMakuakeで発表された「小さなボディにフルオーケストラ。Hi-Fiサウンドの完全ワイヤレスイヤホンAir」はクラウドファンディングにより1億円もの資金を集めるも、商品は一向に完成せず支援者たちの怒りが爆発。その間、なぜか別業者がAmazonで同製品を先行発売するという謎のトラブルも発生。ようやく届けられたヘッドフォンは耐久性に乏しく故障が頻発。実はこの商品、アメリカでもearinという似たようなプロジェクトがあり、Kickstarterで140万ドルあまりを集めた。こちらはそこそこ高品質だったが、ほぼ同時期にAirpodsが発売されて終了。 ●焼かない焼肉屋・29ON 特殊な調理法で話題となった完全会員制の「焼かない焼肉屋」がクラウドファンディングで会員を募集したところ、たちまち定員を満たしたが、その後も追加募集を繰り返し、席数わずか40の店で会員は1000人の大台を突破。これには既存会員の不満も頂点に達し、Makuakeでは異例となる返金騒ぎに発展した。 ●財団法人泰葉こども基金プロジェクト 歌手の泰葉が「あしなが育英会など恵まれないこどもの皆様や虐待に苦しむ女性を応援します」と言って300万円を目標に始めたクラウドファンディングだが、16万7000円しか集まらなかった。その後、支援のリターンとして約束した「6曲入りCD」がいつまでたっても完成せず、支援者が催促すると、逆ギレした揚げ句に「テロ行為」と罵倒。泥仕合に発展した。 ●赤サブレ事件 「子供だましはもうたくさん。真にリアルなFPSゲームを作ろう」というアメリカ・Kickstarterのプロジェクトに22万ドルが集まった。その後、実際に「Takedown:Red Sabre」というタイトルのゲームが完成したが、蓋を開けてみると異常に難しいだけで、すぐさまユーザーから超クソゲーの烙印を押されることに。同タイトルは軽蔑を込めて「赤サブレ」と呼ばれ、返金を要求する支援者が続出した。 ― クラウドファンディング詐欺急増中! ―
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