市民権を得たクラウドファンディング。その一方でトラブルも増加

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支援した結果、人間関係が破綻

 会社員のBさんは、常連だったスポーツ観戦居酒屋が行った移転資金調達の投資型クラウドファンディングで、痛い目を見た経験を語ってくれた。 「引っ越しファンドと銘打ったプロジェクトはいくつかのコースに分かれていて。私が参加した5万円コースは6万円分の食事券、生ビール10杯分のチケット、焼酎ボトル2本、テレビの観やすい優先席の確保など、かなりお得。しかし、移転して半年ほどした頃から、高額コースに参加した人が立て続けに出禁になったり、食事券の使用ルールが変わって一度に使える金額が少なくなったんです。騙し討ちですよ、こんなの」  そしてBさんも店主との間で食事券の扱いを巡りトラブルになり、出禁を言い渡されることとなる。最終的には、残っている食事券分の金額が返金されることになったが、なんと話し合いの翌月に閉店。Bさんの手元には、紙クズとなった3万円分の食事券だけが残った。  クラウドファンディングにおける被害が自分だけで終わるなら、まだいいのだが、周囲の人を巻き込むケースは悲惨だ。主婦のCさんはクラウドファンディングがきっかけで友人を失った。 「知人がアロマオイルの教室を開くクラウドファンディングを始めて、友達を誘って参加しました。しかし、開業してみるとその教室はネットワークビジネスだったんです。教室に行くたびに勧誘されて、誘った友達からは避けられるようになり疎遠になりました」  クラウドファンディングは、あくまでも応援したい人の好意によるもの。それを逆手にとる輩は少なからずいるのである。

被害者救済は法律上難しい

 では、こうした被害に遭わないためにはどうしたらいいのだろうか。IT業界に詳しいトップコート国際法律事務所の山田政樹弁護士に話を聞いた。
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クラウドファンディングはあくまでも「支援」
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