40代以上の3人に1人が悩む排尿トラブル。予防には「舌」のトレーニングが効く!? 

侮れない「舌」の衰え

 一方、少し意外な気もしたが、「舌」も重要なトレーニングポイントだという。 「まだあまり知られていないので、意外に感じるかもしれないですが『舌』の衰えは全身の筋力低下とつながることもわかっていて、『舌』は今、大変注目されている筋肉です。しかし現代では舌が衰えて下がり(低舌位)、口が開いていて、口呼吸をしている人が増えています。 一人の人の筋肉の衰えというのは、どこかだけ極端に衰えるとは考え難いので、『舌』が衰えている場合、つながる体幹が衰えている可能性は高いですし、その逆もいえます。 排泄のための骨盤底筋群(出口)とあわせて、飲食の入り口の筋肉である舌も同時に鍛えましょう」(児島さん)  2つのチェックと、舌の運動をやってみよう! ◆チェック1 口呼吸が習慣になっていないか  普段通り呼吸をしながら、ガラスのコップを口に当ててみよう。曇ってしまったら、口呼吸をしている可能性あり。  本来、鼻が呼吸器で、口は消化器。鼻の中は粘液が出ていて吸気をうるおし、鼻粘膜に生えている微細な線毛と粘液層が細菌やウイルスなどをとらえ、さらに吸い込んだ空気を温めて気道へ送ってくれる。「目的外使用」となる口呼吸は鼻呼吸に改めよう。 ◆チェック2 舌が下がっていないか  舌が本来あるべき位置は、舌表面が口の上側にぴったりくっつき、顎が固定されている状態。舌先は上の前歯の根元、歯に触れない位置にある。  自分の舌が口の上側についているか、舌先が舌の前歯辺りに落ちていないか、確認を。舌が下がっていたら、正しい位置に戻そう。 ◆舌の運動  歯磨きの後などに、舌を思いきり前に出し(あかんべー)、上下左右に動かす。  口の中で舌を回転させ、口の内側や頰の内側をまんべんなくなめる。  人生100年時代と呼ばれるようになって、排尿トラブルが起こってからも「人生は長い」。セルフケアとともに、超高齢社会に相まって進化している排泄ケア用品などの利用も含めて「前向き」な対処をすれば、いつまでも元気に、快適に人生を楽しむことができる! ●児島満理奈 理学療法士。訪問リハのかたわら、一般社団法人グッドネイバーズカンパニーのメンバーとして楽しくヘルスケアに取り組める「くちビルディング選手権」(食べる機能低下や社会的フレイル<虚弱>を防ぐスポーツイベント)などを開発、全国に広げる活動をしている。書籍『尿トレ 誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消!」ブック』(方丈社刊)で健康な排尿を続けるためのトレーニングを指南。
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