「中国の植民地」化が次第に強くなっているベネズエラ。マドゥロ大統領が訪中

資源を握る一方、武器も提供

 中国のベネズエラでの支配を強化する意味で武器の供給についても、今ではロシアを抜いて中国がベネズエラの最大供給国になっている。  チャベス前大統領政権下の2009年から2013年まで、ベネズエラに供給される武器の66%はロシアからの供給であった。しかし、マドゥロ大統領になってから中国からの融資が次第に増加して行くにつれ、中国からの武器の輸入が増えて行ったのである。  経済的に疲弊し、国家は崩壊寸前で、市民は空腹と闘っているにも拘らず、CSISによると、ベネズエラの防衛費は世界21位、ラテンアメリカ ではトップの位置にあるという国なのである。(参照:「ABC」、「Dolar Today」)  ラテンアメリカにおける中国の投資が最大の国はブラジルで、2001年から2016年の間に549億ドル(6兆400億円)の投資額となっている。これはその次に投資先となっているペルーの124億ドル(1兆3600憶円)を大きく引き離している。ルラ元大統領とルセフ前大統領の左派が政権を担っていた期間にその投資が急増したのだ。しかし、米国寄りのテメル大統領になって、その傾向に幾分の変化が見られるようになっている。10月に新大統領として極右のボルソナロが選ばれるようになると、中国にとって些か足踏みせねばならなくなることになるだろう。  それでも、中国はベネズエラそしてブラジルをラテンアメリカにおける玄関としている。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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