自民党総裁選公開討論会の一部を「信号無視話法」分析してみた

安倍総理の衝撃的発言を報じないメディア

 この討論会で拉致問題にについて安倍総理は「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言った事はございません」という衝撃的な発言をした上、質問の大半にまともに答えられず、「あらゆるチャンスを逃さずにそのチャンスをつかみたい」という非常に抽象的な回答しかできていない。  この総裁選討論会における拉致問題について、新聞社はどのように報じたのだろうか?  朝日、読売、毎日、日経、産経の5社の記事を調査した。 <記載なし>朝日新聞  詳報記事で各論点ごとに時系列で詳しく伝えているが、なぜか拉致問題に関する発言は一切記載がない。 <記載あり>読売新聞 “首相は北方領土問題や北朝鮮による日本人拉致問題を念頭に、「戦後日本外交の総決算を行う」と重ねて意欲を示した。” ・日経新聞 “首相は日本人拉致問題の解決に向けた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長との会談に意欲を示した。石破氏は平壌に情報収集のための連絡事務所を置くよう主張し「その先に拉致問題の解決がある」と述べた。” ・産経新聞 “首相「拉致問題を解決できるのは安倍政権だけだと私が言ったことはありません。これはご家族の皆さんが、そういう発言をされた方がおられることは承知をしておりますが」” ・毎日新聞(有料記事) “首相「米朝首脳会談で、日本の考え方を金正恩朝鮮労働党委員長に伝えた。次は私自身が金氏と向き合い、問題を解決せねばならないと決意している。あらゆるチャンスを逃さず進めたい」” ※上記の調査は2018/9/15 20時時点で電子版で確認できた範囲  結果、問題発言の掲載が確認できたのは、討論会全文の文字起こしを公開している産経新聞のみであった。また、読売新聞と日経新聞は拉致問題に関する安倍総理の発言を「意欲を示した」と好意的に報じている。

他にも飛び出た衝撃的な発言

 他にも、「私は言ってない」発言が数多く飛び出し、多くの国会ウォッチャーが驚愕していた。  この討論会の様子は各局も動画で配信しているのでぜひご確認いただきたい。 <文・図版作成/犬飼淳 TwitterID/@jun21101016> 【犬飼淳氏】 サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。  犬飼淳氏の(note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(日本語版英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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