エルドアン大統領 写真/ロイター・アフロ
8月に起きたトルコリラ・ショックでは多数の日本人が被害に遭ったとされる。リラを売買する個人投資家の95%が「買い」だったからだ。そのなかで、売りでも買いでも荒稼ぎした強者がいた! そのトレード術を初公開!!
「160万トルコリラほど買って、この2年間で700万円ほどの金利収入を得ていたのですが、8月の暴落で1600万円の含み損が発生。泣く泣く損切りしました」
ある投資家が苦しい内情を教えてくれた。一体何が起きたのか。
「トルコリラ/円は8月上旬、30%以上も暴落しました。米ドル/円でいえば10日で100円から70円に急落したようなものです」
そう解説するのは外為どっとコム総研の神田卓也氏だ。下落トレンドが続いていたトルコリラだが、政策金利は17%の超高水準。金利目当てで多数の日本人が資産を投じたところで起きた大暴落だった。
「トルコは高インフレと経常赤字という2つの問題を抱えています。本来なら利上げで対処するのですが、エルドアン大統領は利上げに消極的。中央銀行の独立性を侵して金融政策に口を出しており、トルコリラ安に歯止めがかからないんです」
元凶は大統領にあるようだが、任期はあと5年も残っているとか。
「しかも、2年前に起きたクーデターへの関与が疑われて拘束されている米国人牧師の解放をアメリカは要求していますが、エルドアンは拒否。対立が激化してアメリカが対トルコ追加関税を発表したことが、8月のリラ暴落の直接的なトリガーとなりました」(神田氏)
エルドアンも「iPhoneよりサムスンを」と米国製品のボイコットや、“タンス外貨預金”をトルコリラに替えるよう呼びかけているが効果は見られない。もはや、八方ふさがりだったトルコ中央銀行は9月13日、ついに利上げを強硬。それも事前予想を超える利上げ幅でトルコリラ/円は急騰したのだ。
「アナリストは3.5~6%の利上げが行われると予想していたのですが、ふたを開けてみたら6.25%。予想のほぼ上限に当たる大幅利上げだったため、トルコリラ/円は前日の17円台から一気に18円台後半まで上昇したのです」(為替アナリスト)
大暴落後の急騰は、まさにジェットコースター相場。そんな荒ぶるトルコリラで着実に利益をあげている投資家もいる。専業トレーダーのjaguar氏がその一人だ。