今回の沖縄県知事選は、大量のデマが出回る選挙となっています。大きな選挙で
「デマ」が流されること自体は珍しいことではなく、こうやって誹謗中傷を繰り返すことで、相手のイメージを削っていく戦略が取られるのはよくあることです。どこの誰だか知らない人がデマを流すのは止められないかもしれませんが、今回の沖縄県知事選の特徴は、その出所不明のデマを国会議員が率先して流していることにあります。
サイトの信頼性が著しく低く、誰がデマサイトを運営しているのかを探られ始めた瞬間、データがすべて消されるようなものを、公明党の遠山清彦さんが堂々と紹介しているのです。言ってしまえば、2ちゃんねるの掲示板を本気で紹介しているようなものですが、遠山清彦さんは公明党でありながら日本会議が主催する
「憲法改正フォーラム」に出席して、公明党の立場から憲法改正を積極的に進めようとしている政治家です。他の項目はともかく、まずは憲法9条を改正したいと願う政治家が
「辺野古基地建設」を目指している現実。これでは普天間基地の危険を取り除きたい以外の思想が見え隠れしてしまいます。
事実無根の中傷ビラが撒かれている
沖縄では出所不明のビラが配られ、玉城デニーさんが
「中国のために政治をしようとしている」というデタラメが流布されています。
「ここまでカルト臭がする怪しいビラを信じる人はいないのではないか」と思う人も多いようですが、思っている以上に信じる人がたくさんいるから、こうしたビラが効果を発揮するのです。
原発問題にしろ、基地問題にしろ、反対している人がいるのに強引に押し進めるやり方をすれば、当然のように反発が生まれます。
福島第一原発事故が起こる以前の日本であれば、柏崎刈羽原発を再稼働させると言っても猛反対する人は少なかったかもしれません。しかし、原子力発電という発電方法が極めて危険で愚かだということが証明されてしまった今、福島第一原発の反省も検証もせずに柏崎刈羽原発を再稼働させるというのは、あまりに頭が悪すぎます。
基地問題についても同様で、もともと辺野古の山の中に基地を作る計画だったのに、それでは土建屋が儲からないということで、土建屋の要望を受ける形で海の上に基地を作る計画に変更された経緯があります。山を埋めて滑走路を作ると言っても反対する人はたくさんいたかもしれませんが、多様な生物が生息している大浦湾の美しい海を埋め立てる計画になったため、それまで以上に反発する人の声が大きくなったことは間違いありません。
ただでも沖縄には戦争を経験した
「おじい」や
「おばあ」がまだまだ生きているのです。背中を焼夷弾で焼かれたおばあが辺野古基地の前にやってきて反対しているわけです。しかし、それを
「県外からやってきた反日左翼がほとんどだ」というデマを流しているのは、それこそ県外からやってきたネトウヨだったりして、僕自身もそんな言説を流す県外の創価学会信者に出会いました。
佐喜眞淳さんは
「分断するのではなく、対話で解決する」と言っていますが、その対話の相手は
「政府」を示しています。しかし、本当に対話をしなければならないのは、立候補する時点で最初から話がついている
「政府」ではなく、反対している
「沖縄県民」のはずです。
反対している沖縄県民との対話を避け、なるべく争点化しないように努力している人が
「沖縄を分断するのはやめよう」と言っているのです。本当に沖縄を分断しているのは誰なのか。改めて、沖縄県民は分断している人を見極める必要があるのではないでしょうか。