体操協会のパワハラ問題は、部下の意欲を高められないリーダーに要因あり

パワハラが生まれる上司と部下の組み合わせ

 このように申し上げると、塚原女子強化本部長が言ったように「これでは、言ったもの勝ちじゃない」と思う人もいるだろう。そうなのだ。リーダーは言われたらおしまいなのだ。リーダーとしての役割を果たせていないのだから。  若手のリーダーであろうとシニアのリーダーであろうと、小さなチームのリーダーであろうと大きな組織のリーダーであろうと、私はこの認識をもっと強く持つべきだと思えてならない。  身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルを反復演習する「分解スキル反復演習」を実施していると、実はパワハラを起こしやすいリーダーとメンバーの傾向がわかってきた。  それは、リーダーとメンバーが各々持っている、モチベーションファクター(意欲を高める要素)の差異と、相手のモチベーションファクターの見極め確度に相関している。  私は、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターを、以下の2つの志向、6つの要素に分類している。 <2つの志向と6つの要素、その特徴> ●牽引志向 ・目標達成(チャレンジすることで意欲が高まる) ・自律裁量(独自の方法で取り組むとやる気が出る) ・地位権限(責任ある仕事をすることで気持ちを高める) ●調和志向 ・他者協調(協力することで意欲が高まる) ・安定保障(リスク回避できるとやる気が出る) ・公私調和(バランスをがとれることで気持ちを高める)  例えば成果を出すということを考えた場合、周囲の人と協力することで業績を上げやすい人もいれば、他の人とあまり連携せず、自分独自の方法で取り組むと業績を上げやすい人もいる。リスクを回避して業績を上げる人もいれば、リスクを恐れずチャレンジして業績を上げる人もいる。  いずれも業績を上げることに貢献できるので、どのモチベーションファクターが善い悪いということではなく、人それぞれが持っている要素なのだ。
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パワハラを回避するために重要なこと
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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