あの「ダ・ヴィンチ」特許満了。いよいよ手術支援ロボット戦国時代へ

ダ・ヴィンチ

インテュイティヴ・サージカル社のダ・ヴィンチ photo by Cmglee via Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

 手術支援ロボット分野は、これまでインテュイティブサージカル(Intuitive Surgical)が牽引してきた。同社製品「ダ・ヴィンチ」(da Vinci)は2001年から英国で稼働しており、現在では全世界を対象に4500台以上が供給されている。手術対象は拡大されているが、前立腺、膀胱、産婦人科手術が主な用途となる。  そのダ・ヴィンチの中心的な技術の特許満了に伴い、競合他社の巻き返しが期待されている。  すでに英国では、手術支援ロボット・Versiusが登場。各病院への本格的な供給準備を開始している。また医療機器メーカー・Medtronic、Verb Surgicalなども関連ロボット製品の発売を控えており競争が激化する見通しだ。

ダ・ヴィンチのライバルも台頭

 それらのうちまず、CMRサージカルが開発するVersiusは、すでに英国の70以上の病院で使用されておりダ・ヴィンチのライバルを自称している。同社は Versius がより小型であり、従来のロボットよりも柔軟かつ幅広いタスクを実行できると強調。共同創業者Luke Hares氏は、Versiusが簡単に設置できる独立モジュール式のアームを保有しているとし、病院の回転率を高め経済的な運営を可能にすると説明している。  Versiusのロボットアームには人間の腕のように柔軟な関節があり、外科医はジョイスティックと3Dスクリーンを使用してコントロールすることができる。CMRサージカルの共同創設者であり、Addenbrooke病院の外科医であるMark Slack氏は、手動の腹腔鏡ツールで縫合を教えるためには約80時間がかかるが、一部の外科医はこれをマスターすることができないと前置きした上で、Versiusは30分ほどで使い方を教えることができ、より多くの外科医が活用できると説明する。  Versiusは今後数ヶ月以内に、欧州で健康と安全に関する承認マークを獲得するものと予想されている。ロボットシステムの価格は明らかにされていないが、CMRサージカル側はインテュイティブサージカルのダ・ヴィンチより経済的だとしている。
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Google親会社も手術ロボ部門に参戦
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