日本のエアコンは、断熱レベルの低い住宅を基準につくられている
家の断熱気密性能をある程度高めることができたら、最後にエアコンの選び方だ。もし新しくエアコンを選ぶなら、実際の畳数よりもコンパクトなものを選んだほうが効率が良い。
先述したように、日本のエアコンは断熱レベルのとても低い住宅を基準につくられているので、そもそも実際の部屋の広さよりもパワーがある。にもかかわらず、住宅メーカーや家電量販店は「効きが悪い」と言われることを恐れて大きめのサイズを薦めがちだ。
しかし、きちんと断熱された家ではかえってオーバースペックになってしまう。効率の良さは「APF」という数字に注目しよう。APFとはエネルギー消費効率のことで、数値が大きいほど効率が高い。これが6.0以上のものをお薦めしたい。
残念ながら、日本の住まいは著しくレベルが低い。それを自覚しつつ、現状のまま単にエアコンの出力を上げるのではなく、窓まわりなどできる対策をコツコツと積み重ねていくことで、省エネに加えて快適性を確実に向上させることができるのだ。
◆ガマンしない省エネ 第4回
<文/高橋真樹>
ノンフィクションライター、放送大学非常勤講師。環境・エネルギー問題など持続可能性をテーマに、国内外を精力的に取材。2017年より取材の過程で出会ったエコハウスに暮らし始める。自然エネルギーによるまちづくりを描いたドキュメンタリー映画
『おだやかな革命』(渡辺智史監督・2018年公開)ではアドバイザーを務める。著書に『
ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)『
ぼくの村は壁で囲まれた−パレスチナに生きる子どもたち』(現代書館)ほか多数。