カジノ反対派の票を3倍増させ、和歌山市長選で善戦した島くみこ候補。誘致反対の民意の受け皿となった
業界団体は歓迎する一方で、カジノ誘致の公言が選挙にマイナスに働くことは、通常国会でカジノ実施法案が成立した直後の「和歌山市長選」(7月29日投開票)を見ても明らかだ。
カジノ賛成派の現職・尾花正啓氏(自民・公明・国民民主推薦)が反対派の島久美子氏(共産・社民推薦、自由支援)を抑えて再選を決め、尾花氏の6万8081票に対して島氏が2万8145票とダブルスコア強の差がついた。
しかし昨年10月の総選挙では、カジノ反対を訴えた共産党候補の得票率は約1割にすぎなかった。今回の和歌山市長選では、カジノ誘致反対を積極的に訴えた島氏が予想以上に健闘、反対派が得票率を3倍増させていたのだ。
「カジノ反対を訴えた時の反応は非常に良く、最初は女性から『子供の教育環境が悪くなる』と声援を受け、途中から男性も『ギャンブル依存症でした。カジノはいらない』と励まされました」(島氏)
自民党としては、カジノ誘致は地元業界団体には歓迎されるが、争点として広く知られればそれ以外の票が減ってしまう。今回の沖縄県知事選は、辺野古新基地の是非と問うと同時に、裏の争点としては「県内へのカジノ誘致」を問う選挙という可能性も高くなってきたのだ。
<取材・文・撮影/横田一>
ジャーナリスト。小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた
『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)に編集協力。その他
『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数