中国版ゆとり世代「95後」が大国のビジネスを変える

従来のリーダーシップが通用しない

朱氏正面

Wish & Recommend inc.取締役 朱 子靑氏

朱:柔軟で、自由で、枠にはまらない点は、とても優れています。私は「95後」世代の人材が、中国をさらに革新させる、飛躍的なイノベーションを実現するとまじめに思っています。 山口:しかし、言わば我慢を知らず、甘やかされて育った世代ですから、ネガティブな傾向もあるのではないですか。 朱:決まりがこうだから、規則がこうだから、前例がこうだから、という前提での上司の指示や命令に従いません。自分が納得しないと動きません。人に譲る、先輩を敬うという儒教の教えが効いていません。 山口:朱さんは、「95後」世代の上司層にいるわけですが、「95後」世代に対するリーダーシップの難易度は高いのではありませんか。 朱:従来のトップダウンのリーダーシップは、全くといっていいほど効きません。やれと言ってもやらない。言えば言うほど、かたくなになる。逆にやる気をなくすわけです。そこで、人それぞれ持っている個性や価値を認めてあげて、いい点を誉め、本人の気持ちを鼓舞しながら、巻き込んでいくことが不可欠です。 山口:私も能力開発プログラムを実施していますが、中国版シリコンバレーといわれている中国中関村は、いち早くトップダウンのリーダーシップから、メンバー一人一人のモチベーションファクター(意欲が高まる要素)を梃にした巻き込み型のリーダーシップのスキルを高める方向にシフトしようとしている。背景には、そのような理由があるのですね。 朱:ひとたび、「この人は自分の個性や価値を認めてくれている」「自分の気持ちを尊重してくれている」という信頼関係が築ければ、能力を発揮してくれます。しかし、なかには「部下は上司に従うべきだ」「部下は上司に合わせるべきだ」というトップダウンのリーダーシップしかできない上司もいます。そういった上司は「95後」世代のパフォーマンスを発揮させることができず、チームのパフォーマンスも向上しないということになるのです。 環境と教育が「95後」世代を生み出したわけで、今から「95後」世代にすぐに変われと言っても変われるはずがありません。だから、上司が変わるしかないわけです。
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必要なのは「上司が変わる」こと!?
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