アメリカとメキシコがあれほど難航していたNAFTA交渉見直しで大筋合意した背景

貿易赤字解消に役立つかは疑問

 これまでの合意は24年前に発効されたもので、当時は中国からの脅威は存在せず、また情報産業の発展もなかった。だから、トランプ大統領が指摘しているように米国の貿易赤字は必ずしもNAFTAが大きく影響しているのではないのである。  今回の合意ではエネルギー分野、デジタル関係、知的所有権などについても規定が謳われている。  今回の合意内容は8月31日に議会に通達されて、大統領が署名する前に90日以内に議会での承認が必要となっている。この日程に遅れが無いことを米国政府が願っているというのは、11月31日をもってペーニャ・ニエト大統領の任期満了となるからである。アムロも今回の合意に同意しているから、12月1日からアムロの署名が可能であるが、米国とメキシコの両政府はペーニャ・ニエトの大統領としての最後の務めとして彼の署名を望んでいるからである。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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