大企業も倒産する時代、長期保有を続けるメリットは薄れている
東芝は、米原子炉メーカーであるウエスティングハウスの買収によって財務内容が悪化した。2015年に粉飾決算が明らかになり、株価が暴落。2013年ごろには500円を超えていた株価が、2016年半ばには約150円まで下落した
しかし時代は大きく変わりました。特にバブルが弾けた1990年代に入ってから、グローバル規模で企業間競争が激化しました。ICT革命の急速な発展によって、スピード経営が求められるようになりました。
経営破綻などありえないと思われていた大手銀行、証券会社、大手電機メーカー、電力会社などがさまざまな理由で倒産したり、救済のため事実上国有化されたりしました。福島原発事故でつまずいた名門・優良企業の東京電力や、原発推進路線が裏目に出て粉飾決算が明らかになり、倒産寸前まで追い込まれた東芝のケースは、まだ記憶に新しいところです。
大企業といえども、いつ破綻するかもわからない時代です。優良企業の現物株の所有者も、これまでのように長期間保有を続けるメリットは薄れてきているように思います。高度成長期のように株主優遇制度がほとんどなくなってしまった現代、買った株は売らないと利益が得られません。
それでも現物株保有者の中には、購入後5年~10年と持ち続けている人が多いと思います。知人の1人は、「保有している株を売れば一定の利益が得られるが、手にしたお金で次に買う銘柄が分からないのでついつい持ち続けている」と言っていました。同じような悩みをお持ちの方が結構多いようです。
「石橋攻略」ではこの悩みは解消されます。一定の売却益をもたらしてくれる優良株を価格が下がった時に購入し、一定の売却益が得られるまで上昇した場合には売却して現金(利益)が得られます。
その現金をしばらく手元に置き、株価が下がったらまたその銘柄を購入すればよいからです。気心の知れた1つの銘柄の売買を繰り返すだけなので、次にどのような銘柄を買ったらよいかなどで頭を悩ます必要はありません。
◆石橋叩きのネット株投資術第10回
<文/三橋規宏>
みつはしただひろ●1940年生まれ。1964年慶応義塾大学経済学部卒、日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、科学技術部長、論説副主幹、千葉商科大学教授、同大学名誉教授、環境を考える経済人の会21事務局長等を歴任。主著は『
新・日本経済入門』(日本経済新聞出版社)、『
ゼミナール日本経済入門』(同)、『
環境経済入門』(日経文庫)、『
環境再生と日本経済』(岩波新書)、『サッチャリズム』(中央公論社)、『サステナビリティ経営』(講談社)など。