精神障害者雇用が義務化。企業に求められる対応とは

精神障害者雇用が義務化。企業に求められる対応とは

 今年4月、障害者雇用促進法が改正され、企業は対応を迫られた。主な変更点は、法定雇用率が2.0%から2.2%に引き上げられたことと、これまでの身体障害者と知的障害者に加えて、精神障害者が対象になったことだ。さらに、精神障害者の短時間労働者の算定方法を0.5人から1人にするなど、精神障害者の雇用を大きく後押しする形になっている。
精神障害者が働きやすい環境に

【精神障害者が働きやすい環境に】特例子会社への雇用をサポートする機構もある(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構HP)

 だが、いくら雇用を促進されても簡単に対応できるものでもない。数々の障害者雇用の現場を取材するノンフィクション作家の草薙厚子氏は、次のように解説する。 「企業はできれば身体・知的障害者を優先して雇用したいというのが本音です。なぜなら、勤続年数が身体障害者10年、知的障害者7年9か月に対し、精神障害者は4年3か月と短いからです。ですが、身体障害者は安全管理や医療の発展で減少し、知的障害者も頭打ち。法定雇用率の2.2%は精神障害者を雇用しなければ達成できない状況です」  法定雇用率を超えれば、1人につき月額2万7000円の障害者雇用調整金が支給されるが、達しなければ罰金的に雇用納付金を納めなくてはならない。 「1人につき月5万円徴収されます。ある企業は、7000万円も支払ったといいます。こうなると企業の財務が危ぶまれます」 《障害者の就職状況(ハローワーク)》 ※平成29年厚生労働省職業安定局資料より ●平成28年度 全数 93229件 知的障害者 20342件 21.8% 身体障害者 26940件 28.9% 精神障害者 41367件 44.4% その他   4580件 4.9% ●平成18年度 全数 43987件 身体障害者 25490件 57.9% 知的障害者 11441件 26% 精神障害者 6739件 15.3% その他   317件 0.7%
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一口に発達障害といっても種類が分かれている
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