和彫りの人気上昇中のNYでもタトゥーの施術合法化は約20年前のことだった!? 米国・韓国のタトゥー事情

米国でもタトゥーの世間体は良くはない

「ライセンス」で思い出されるのは、昨年日本で大きな議論を呼んだ「彫り師の摘発」に関する一連の騒動だ。  近年、医師免許を持たずに活動していた日本の彫り師らが、医師法違反で摘発されるケースが急増。昨年、一部の彫り師が「タトゥーはアートであり、医療行為ではない」として裁判を申し立てた。こうした日本の現状に対し、アメリカのタトゥーアーティストはどう思うのだろうか。 「もちろん、アメリカのタトゥーアーティストが取得を求められるライセンスは、医師免許ではありません。アーティストと医師は明らかに目的が違う。  現に“タトゥー科”や、“タトゥー専門医”は世界に存在していない。過度な取り締まりは、タトゥーをよりアンダーグラウンド化させ、施術をかえって危険なものにする恐れもある。  そんな状態が続けば、日本の文化であるはずの和彫りが、いずれ海外のものにだってなりかねません。実際、アメリカには、日本での活動を諦めた多くの日本人タトゥーアーティストが自分の居場所を求めてやって来ています」  合法化された施術環境やタトゥー人口率の高さから、誤解されやすいのが「アメリカはタトゥーに寛容だ」と思われることだ。  ローサ氏によると、アメリカでもタトゥーが入っていることは、世間体にはよくないという。それを裏付けるように近年、海兵隊や一部の州の警察組織の中では、「外見と伝統のバランスを図る」として、肌が露出する部分へのタトゥーを制限する動きもあった。  こうした環境の変化や人生プランの変更などにより、アメリカでも4人中1人がタトゥーを入れたことを後悔しており、数百ドル(数万円)程度で入れたタトゥーを、その数倍の時間と費用をかけて除去する人も少なくない。 「偏見とまではいきませんが、やはりビジネス上では不利になることは多いです。入れる前は『将来タトゥーを入れる』という選択肢と『やっぱり入れない』という選択肢がありますが、前者を選んだ瞬間、できないことが減ることはほとんどなくとも、できることは確実に減る。タトゥーを入れようとする際、このことは十二分に考慮する必要があります」
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韓国では全身タトゥーを入れて兵役逃れを図るケースも
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