盧氏の死は、現在の文在寅政権にとっても、大きな打撃となりそうだ。
韓国は大統領制であり、大統領の出身政党が与党とされる。したがって、与党が議会の第一党とは限らず、議席の過半数を制しているとは限らない。与党が過半数の議席を有していない場合、法律改正などの政策を実現するためには、野党との協力が必要である。
これまでの韓国国会は、与党である「共に民主党」と野党「自由韓国党」、「正しい未来党」に加え、「民主平和党」(14議席)と「正義党」(6議席)が立ち上げた共同交渉団体「平和と正義の議員の会」 (20議席)の4大勢力で成り立っていた。
交渉団体は日本の国会における院内会派に相当し、20名以上の国会議員を有する必要がある。盧氏が死亡したことによって、「平和と正義の議員の会」所属議員数が19席となり、交渉団体の要件を充たすことができなくなってしまった。したがって、国会は今後、与党「共に民主党」と野党「自由韓国党」、「正しい未来党」の3交渉団体の体制での運営となる。
保守系である「自由韓国党」と「正しい未来党」が現政権の「共に民主党」を2対1で圧迫する形勢となったことで、文在寅政権が掲げる改革立法にも、劣勢が見込まれる。
革新系交渉団体とされていた「平和と正義の議員の会」が、盧氏の死によってなくなることは、現政権にとってかなりの痛手であるといえる。
この一件で「ドルトイキング」事件は収束されるのか。政治家(やその秘書)の死をもって収束される事件は、いつもどこかグレーできな臭い。
万が一にも、文在寅大統領が「ドルイドキング」の工作によって当選したとされるならば、いずれはその工作が、ブーメランとして自身にかえってくるかもしれない。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>