さて、話を本題に戻そう。広大なヨーロッパでも星の数ほどロックフェスが乱立しているが、代表的なものは次のとおりだ。
◆オープンエアー・フェスティバル(ポーランド)
チケット価格:1日券・約7800円、4日通し券・約1万7500円
ヘッドライナー:アークティック・モンキーズ、デペッシュ・モード、ゴリラズ、ブルーノ・マーズ
◆プリマヴェーラ・サウンド(スペイン)
チケット価格:3日通し券・約2万4000円
ヘッドライナー:ビョーク、ザ・ナショナル、アークティック・モンキーズ
◆ロスキルド(デンマーク)
チケット価格:1日券・約1万8200円、通し券・約3万6400円
ヘッドライナー:エミネム、ブルーノ・マーズ、ゴリラズなど
◆ロック・ヴェルヒター(ベルギー)
チケット価格:1日券・約1万3200円、4日通し券・約3万800円
ヘッドライナー:ゴリラズ、ザ・キラーズ、パール・ジャム、アークティック・モンキーズ
もっとも高額だったのはデンマークのロスキルド。コペンハーゲン在住のエミリア・ジャスミンさんに話を聞くと、やはり現地でもこの価格設定は不評なようだ。
「私は音楽関連の仕事に就いているのですが、職場の仲間と話していても、『高すぎる』という反応がほとんど。コペンハーゲン郊外にもいくつか小さなフェスティバルがありますが、離れた場所にキャンプしに行ったり、AirBnBで宿を探したりと手間もかかります。私自身はポルトガルのもっと手頃な値段のフェスティバルに行こうと思ってます」
しかし、それ以外のフェスティバルはいずれも日本より低めの価格設定。では、やはり日本のチケット価格は「高すぎ」るのか?
そう思ってしまいがちだが、果たして本当にそうだろうか? たしかにアメリカやヨーロッパのフェスは日本に比べ割安だが、そもそも有利な面も多い。地続きで各国間の移動距離が短く、ツアースケジュールに組み込みやすいというのは、その最たる例だ。
現在、日本近辺では定期的に開催される大型ロックフェスが見当たらない。オーストラリアのサーキット型ロックフェス、ビッグ・デイ・アウトも、移動距離やさまざまな要因から運営が困難になり、‘14年を最後に開催は途絶えている。
毎年恒例の夏フェスだが、“ロックの孤島”となっている日本で、大物アーティストを見続けることができるのは幸せなことではないだろうか? 果たして海外フェスとの数千円の料金差は大きいのか小さいのか……。あなたはどうお考えだろう?
<取材・文/林泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン