精度を高めようとしていたずらに時間を浪費してよいのか?!
興味深いことに、企業や担当者によって、こうした能動性、迅速性のとても簡単な測定方法の導入に積極的な人と、消極的な人に大きく二分される。積極的な人は、「これまで簡単な測定方法に行き当たらなかったので、誤差はあるけれども、一つの事実を示すものなので、活用し、データを築盛してデータの確度を高めたい」という考え方をしている。
一方、消極的な人は、「たまたまグループを代表して発表しただけで、能動性を図ったり、メール送信順だけで迅速性を測ったりするには無理がある。より精度の高い方法を見出したい」という考え方をしているようだ。
この方法は、ビジネススキルを向上させる演習を行いながら、同時に、能動性や迅速性の測定をしてしまう方法だ。演習とは別に、アンケートや、調査のための時間を必要としないので、追加の時間や工数を必要としない点がポイントだ。 その分、誤差があるのだが、データを集積することによって、データの確度を高める方式だ。
より精度の高い方法を求めて、あれこれ考えたり調べたりしながら、何もアクションできずに時間を経過させることと、追加の時間や工数をかけずに、まずは実施して、検証しながら、データの精度を高めていくことと、どちらが実践に役立つが、能動性や迅速性に照らして考えてみることは意味がありそうだ。
【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第94回】
【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『
チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『
クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある