国立天文台が7月20日に撮影した火星 (C) 国立天文台
2018年7月31日、地球と火星の距離が大きく近づく「最接近」が訪れる。
最接近時の距離は5759万kmで、2003年以来、15年ぶりに6000万kmを切る「大接近」となる。すでに6月下旬ごろから、夜遅く南の空で明るく輝く火星が見えるようになっており、最接近後も9月上旬ごろまで、見やすい時期が続く。
この珍しい天体ショーの見どころや、観察のためのポイントについて紹介したい。
火星は地球の外側を回る惑星で、地球が365日かけて太陽のまわりを回っている(公転)のに対し、火星は687日かけて公転している。
たとえるなら地球は、自動車のレースで、ずっとコーナーの内側を走るように、つねに火星に追い付き、追い越すように回っている。そして約2年2か月ごとに、両者の距離が最も近づく最接近が起こる。
また、火星の公転軌道は楕円形をしており、その傾きも地球とは異なるため、最接近時の距離は毎回少しずつ異なる。そのため同じ最接近でも、そのとき火星が楕円の公転軌道のどこにいるかによって、両者の距離は変わってくる。
今回の最接近は、まさに後者のタイミングで発生し、最接近時の距離は5759万kmになる。
ちなみに、今回の最接近は「大接近」と呼ばれているが、正式な天文用語ではなく、明確な定義もない。一般的には、6000万kmを切れば大接近と呼ばれるようである。
大接近、すなわち6000kmを切るのは、2003年以来、15年ぶりとなる。また次回の大接近は、17年後の2035年9月まで待たなくてはならない。
NASAのハッブル宇宙望遠鏡が7月18日に撮影した火星。地球には大気があるため、地上からはこれほどくっきりとは見ることはできない (C) NASA, ESA, and STScI