「無料配信」をしていても「DVDソフト化」でマネタイズはできる。「ダメリーマン成り上がり道」#7
小学生男子のなりたい職業の第6位に「ユーチューバー」が入る今の時代。YouTubeでの映像配信で稼ごうとする人は増え、「コンテンツは無料じゃないと視聴されない」という考えも広まっている。しかし、実はYouTubeで無料公開されている映像も、DVDとして販売すれば、今でも一定数の人たちが購入をしてくれたりする。
MC正社員の主催する戦極MCBATTLEは、’09年からYouTubeでの配信を行っており、累計1億4000万回の再生数を誇る。しかし、それでもなおDVDの販売を続けている、その理由はどこにあるのだろうか?
MC正社員の主催する戦極MCBATTLEが、DVDの販売に力を入れはじめたのは’13年発売の『戦極MCBATTLE 第5章新春 ALL STAR GAME -2013.1.20-』から。しかし、それ以前の大会から、会場での手売りなどでDVDの販売は行っており、累計販売枚数は第4章までで1000枚を超えていたという。
「第1章の頃はまだ自分がデジカメで撮影をしていました。『面白い試合も多かったし、売ったらいいんじゃないの?』と言ってくれる人もいたんですけど、『素人が撮った映像を買う人なんていねえだろ……』と思ってましたね。でも、上野のCASTLE-RECORDSのG.Oさんに『うちにDVD置かせてくよ』と頼まれて、『売れそうな枚数だけ自分で焼けばいいか』と引き受けたんです。そうしたら予約だけで100枚くらいの注文が入って、『そんなにほしい人がいるのか!』と驚きました」
当時は自分で焼いたDVDを1000円程度で販売していたそうだが、単純計算で100枚売れれば10万円。1000枚売れれば100万円と大きな収益になる。もちろん原価などはかかっているが、それを考慮しても重要な収入源だ。
「大きなイベントを年3回やって、DVDが毎回1000枚売れたら、それだけで食べていくことはできるかな……とかいろいろ考えられますよね。でも俺は、最初はそんなことは考えてなくて。『もう会社で働くの無理!』と思って勢いで会社を辞めたんです。そのあとで『やべえ、どうしよう』と焦って計算を始めました(笑)。それまでMCバトルを主催してきた感覚として、イベントの収益だけで食べていくのは難しいとわかっていたんです。だから、DVDの販売に力を入れようと思い、第5章からはいいカメラで撮影をして、流通のことも調べるようになりました」
いくらいい商品を作っても、ユーザーの目に触れず、手元に届かないのでは意味がない。その当時、DVD販売を行うMCバトルの大会は「UMB(ULTIMATE MC BATTLE)とダースレイダー氏のやっていた『3ON3 MC FREESTYLE BATTLE』くらいだった」とのこと。流通のノウハウを調べるのにも、自分の足を使う必要があった。
「そのDVDがどういう経路で流通しているのか自分で調べましたし、人も紹介してもらいました。それで第5章ではディスクユニオンの流通を使うことになり、AmazonやタワーレコードにもDVDを置いてもらうようになったんです」
今でこそ地上派でもMCバトルが観られるようになっているが、それまでは現地の会場か、YouTubeでの配信を観るしかなかった。DIYな姿勢で地道に販売してきたDVDが、大手のネット通販や小売店に並ぶようになった意味は大きい。
ソフトの収益がイベントの土台を支える
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